目覚めは喰種 【霧嶋絢都】

理性 ページ37

沈黙が続く


視線は逸らさない


逸らすことが出来ない



ア「何か用かよ」



先に沈黙を破ったのはアヤト君だった

冷たく私を睨むその瞳からは、何処か怒りを感じる



『話を…聞いてほしい』



優しい彼なら、話を聞いてくれるはず


優しい彼なら、許してくれるはず


優しい彼となら、またいつもみたいに笑って過ご___





ﾀﾞｧﾝ!!





刹那…響いた大きな音




いつの間にか、私の背には樹木



肩に感じる僅かな痛み



視線の先には……アヤト君




樹木に押し付けられてると考えるのにはそう時間はかからなかった




ア「生ぬりｨことほざいてんじゃねェよ！！！」



突然の怒声に自分の身体がビクッと動くのがわかった



ア「なァ、俺に風邪だと嘘ついて男と遊ぶ気分はどうだったか？」



『ちがｯ…！』



ア「答えろよ！！」




怒声と同時に樹木に肩を強く押し付けられ、痛みに顔が歪む



そうだ



いくら優しいアヤト君だとしても


許される保証なんてどこにもない


私は、彼に頼りすぎていた


彼の優しさに____頼りすぎていた




ア「クソが…」




日々の中、幾度か彼と喧嘩した時だってあった




ア「本当は風邪なんてとっくに治ってたんだろ？」




そんな時は、お互いを許しあった




ア「おい……」




何事も無かったかのように笑い合って…




ア「なぁ…」




それも今日で____終わりなの？




ア「聞いてんのか…！？！……ｯて…」



彼の瞳が大きく開かれる


何故か


それはきっと




『…ｯ……』




私が泣いてるから



❁



やりすぎた



こいつが泣いてるのを見て、一瞬で悟る



Aは滅多に泣かない


怖くても、寂しくても、辛くても


泣く時は…行き過ぎた出来事があった時だ



ア「…あ……う、」



かけてやる言葉も見当たらなくて、ただ口をぱくぱくする事しか今の俺には出来ない


自分の無力さに目を伏せたくなったのを必死で耐えた



俺は、怒りを感じると周りが見えなくなる



いつもそうだった



姉貴と言い争った時も



14区で喰い場を荒らしてた時も



Aがチンピラに絡まれてた時も



俺は自分を抑えることが出来なかった



1番クソなのは、何一つ変われてねぇ、俺だ



だからと言って

ここで萎えてても話にならねぇ


今出来る1番の償いは


Aの話を聞いてやることくらいだ



❁❁❁


最近書きたいことがまとまりません('ω')


そろそろ続編作らないとですね…重い

誤解→←ギスギス

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