オトします。 ページ6
家に帰るとすぐに、可愛い娘がたたたっと走り寄ってきた。
「ぱぱおかえなしゃいっ!」
「うん、ただいま未結!」
小さな体を抱き上げてぎゅーっと抱きしめると、きゃっきゃっと嬉しそうに笑った。
あぁ…癒し。
癒されるのと同時に、Aのことを思い出す。
Aと容姿がそっくりな娘を見るだけで、こんなにも会いたいなーって思うのに。
なんで自分はいらないなんて言うの?
ちゃんと帰ってきてよー、と意味を込めて
柔らかい未結のほっぺをぷにっと押してみた。
「まふくーん、俺の存在忘れてないー?」
いつの間にか目の前に立って、おーいと手を振る赤髪の男。
あ、そういえば子守り頼んだんだっけ。
「忘れてない忘れてない。
子守りありがとうさかたん」
「絶対忘れとったやろ。
全然ええでー」
僕の腕に抱かれていた未結もさかたんに向かって、「ありゃとー!」ってにっこり笑いかける。
な、なにこの天使…!
「かわええなぁ…
未結、俺ん所の嫁に…」
「あげるかバカ野郎」
「ひどくね!?」
>>>>>
その後さかたんも一緒に昼食をとった後、彼は帰っていった。
食器を片付けていると、くいくいっと下から服の裾を引っ張られる感覚。
足元を見ると、案の定未結が僕の服の裾を両手で掴んでいた。
洗い物を一時中断して、未結をひょいっと抱き上げる。
「どうしたの?」
すると未結はきょとんとした顔をして、
「ままは?」
と聞いた。
未結の口から久しぶりに聞く、「まま」という単語にちょっとびっくりしてしまう。
そういえば、最近は未結と一緒にいることが多かったけど
未結はあんまり「まま、まま」って呼ばなかったよなぁ。
「ままはね、お友達のお家に行ってるの。
明日になったら帰ってくるよ」
そう言うと、未結は悲しそうな顔をして
「ままにあいたい」
と僕の服をぎゅうっと握った。
「…ごめんね、明日までの我慢だよ。
今日はぱぱといっぱい遊ぼう?」
そう誘ってみるけど、未結は悲しそうな顔をやめない。
……未結もこんなに悲しがってるんだ。
A、早く帰ってきて。
離婚なんて言わないで。
未結のためにも、もちろん自分のためにも。
必ずAをもう1度オトしてやると心に決めた。
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夢菜 - 滅茶苦茶好きな感じの作品です!のんびり待ってます!(プレッシャーになったらすみません) (1月12日 22時) (レス) @page19 id: d976c5d16a (このIDを非表示/違反報告)
りーな(プロフ) - めちゃくちゃ続き気になるぅぅ!! (2022年12月11日 10時) (レス) @page19 id: 58a7f79ac7 (このIDを非表示/違反報告)
りんご(プロフ) - お、終わり…!?続きが気になる…(´;ω;`) (2022年12月7日 19時) (レス) @page19 id: 060f5591e6 (このIDを非表示/違反報告)
いるよ - 私も本当に最近読んで、ウハウハしてたのに終わってしまいました…妄想で完結してます…今でも続き待ってます… (2022年12月5日 19時) (レス) id: 7464634473 (このIDを非表示/違反報告)
るな - 終わり!?!? (2022年2月3日 8時) (レス) @page19 id: a027da1c3b (このIDを非表示/違反報告)
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