【まふまふ】今日から嫁を本気でオトします

オトされません。 ページ17

｢はぁ、つまり


放ったらかしの結婚生活に嫌気がさして離婚を切り出したら
相手が駄々こねて１ヶ月間考え直すように強要させられてるってことでいい？｣



｢言い方悪いけどだいたいそれであってるかな…｣







家の近くの小さなカフェで、私の話を聞いてくれているのは高校からの友達の遥香。


茶髪をゆるく巻いてぱっちりとした目にぷるんと潤う赤い唇が特徴的な美人。
遥香とは高校卒業してからもよく遊んだりする仲で、信頼出来る数少ない人物だ。



少々口が悪いけども。



｢そんな旦那すぐ捨てたほうがいいでしょ。

私ならめんどくさくて付き合いきれない｣




｢まーそれもそうなんだけどね。


子供がいる以上、簡単に別れることも出来ないっていうかさ｣



｢いや別れる気で1回家飛び出したんでしょーが。

あんたはほんと、優柔不断なんだから…
だから悪い男に捕まるんだよ｣




｢ごもっともです…｣








あれ、私今日悩み相談しに来たんじゃなかったっけ？
なんで若干怒られてるんだろ？



｢まぁ、１ヶ月間の猶予？を承諾しちゃったなら仕方ない。

…どうなの？ちょっとは変わった？｣



｢えーっと、

最近は結構私の存在を気にしてくれるようにはなった…のかな。


話しかけてきたり、ご飯一緒に食べようって言ってきたり、家事を手伝おうとしてくれたり｣




｢それは進歩なの？

私には当たり前すぎてわかんない｣





｢前はいないのも同然の扱いだったからさ…｣







思い返せば、最近旦那さんは私をよく気にかけるようになった。………と思う。


まぁ…気まずいから一緒にご飯も断っちゃってるし、

会話も何を話したらいいかわかんないし弾ませたりしないんだけどね。









｢あ、そうだ。

Aさ、次の土曜日空いてる？｣


｢え？次の土曜日…？

何かあるの？｣


でたよいきなり話を帰る遥香の癖…


遥香は何やらゴソゴソとカバンを漁り、どどんと得意げにチケットを2枚並べた。



｢ふふふ、『ハリケーン』のコンサートチケット！！！

しかもアリーナ席！！｣



｢え、あの人気アイドルグループの！？｣




｢そうそう！！

本当は別の子と行く約束してたんだけど、その子が急に来れなくなっちゃって。


もったいないし、Aも一緒に行こう！｣




正直、『ハリケーン』には微塵も興味はない。
さすがに国民的アイドルだから顔と名前は一致するけども。


でも、有名人に会えるならちょっと、行ってみたいかも。

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