最強の死神〜蓮城編３〜

第57話 ページ7

化け物と化した景山に殴られたAは、どさりと音を立て地へと転がる姿を、愕然とした表情で一護は見ていた。


一「う、そだろ……っ、A‼」

雷「主‼‼」


半ば蒼白気味になりながら雷我も呼びかけるが全く反応を見せず、力尽きた様に倒れているA。
最強と謳われるAがここまで圧倒される光景に、一護思わずどっと冷や汗を滲ませた。


雷「っ貴様ぁぁああああ‼‼」


怒りが頂点へと達し、雷我の蒼眼は鮮やかな紅へと化し、空気を揺るがすほどの霊圧を迸らせた。雷我個人の性質・雷が霊圧が高まるにつれ、ビリビリと電撃を纏う。


雷「殺す」

景『フハハハハ‼ヤレルモノナラ、ヤッテミルトイイ‼‼』


一護が瞬きした瞬間に瞬歩で迫ったかと思えば、目で追うもやっとな程の速度で斬り合いを始める。ガキンガキンッと刃と硬度なものがぶつかり合う鈍い音が空気を響かせていた。

一護は、思わず地を掻きギリっと歯を食いしばる。


一「(俺は何も出来てねぇっ、霊圧を持っていかれたぐらいでこんな有様だ。彼奴の為に……っ)」


悔しさと己の弱さに苛つき、役に立てていない己を責め立てていると、突如体内に暖かな気が流れ込んでくる感覚を覚え、はっと上を見上げた。
現れたその人物に驚き、一護はその人物の名を呼ぶ。


一「…修也」

蓮「ほら、治療は済んだぞ」


見れば貫通した腹部は見事に塞がり、霊圧も元に戻るまでに回復していた。そう、たった一瞬で。
そのことに驚きを隠せないでいる一護に修也はけらけらと笑いを見せた。


蓮「奴は強いだろ」

一「……嗚呼、強い」

蓮「今は俺は奴の僕……傀儡に似たようなものだ。だから特殊な契約がある限り直接的な攻撃は無効化される」


激戦とばかりの目の前の光景を見ながら修也は呟くと、一護の腕をとり立ち上がらせる。
余りの唐突さに蹌踉る一護ではあったが、気を引き締め彼を見やる。


一「……あんたは、本当に敵なのか？」

蓮「さぁな」

一「さぁな、って……、」

蓮「敵か味方か、それは君自身が決めることじゃあないのかい？味方だと言いつつ裏切るやつなんざそこら中ゴロゴロ転がっている。敵だと判断するならば、剣をとり殺すつもりで掛かってくるといいさ」


にんまりと不敵に笑みを浮かべる修也に、頭の賢くもない一護は理解するのに精一杯。ガシガシと頭をかいて彼の手を振り払う。


一「そうだな、俺の敵を倒すのみ‼」


一瞬にして卍解をした一護は、目の前の敵へ向けて刃を振るった。

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