BURST�� ページ24
「死んで欲しくねぇから
あの時止めたのに、
オレとAの言葉は
届かなかったのか?」
ナツの言葉は、
普段の冷静さを失った
グレイの頭を冷やすのに十分だった。
グレイから放たれる凄まじい魔力が、
徐々に弱まっている様に見えた。
「やりたきゃやれよ、その魔法」
「ナツ…」
ナツはそう言うと、
グレイからデリオラに目を向けた。
グレイがナツの名前を呟いた瞬間、
デリオラが右腕を高く振り上げた。
絶対氷結(ｱｲｽﾄﾞｼｪﾙ)を使う事も、
攻撃を受け止める事すらもう間に合わない。
「ガアアアっ!!」
「よけろォォオ!!」
『ナツ!!』
「オレは最後まで諦めねぇぞ!!」
ナツはそう言って右手に炎を纏ったが、
デリオラはナツに目掛けて
腕を振り下ろそうとしていた。
ガコォ――
「「「『!!』」」」
バキッ、ガコォン――
突然デリオラの腕が折れた。
「え?」
「な…」
『えっ!?』
デリオラの身体に
いくつもの亀裂が入った瞬間、
ガラガラ、と音を立てて崩れていった。
「な…何だ!?」
「バ…バカな…そんな…まさか…」
崩壊していくデリオラの姿を見て、
リオンは驚愕していた。
「デリオラは…既に死んで…」
ドドドドドッ――
デリオラの残骸は水の中に落ちた。
「10年間…
ウルの氷の中で
命を徐々に奪われ…
オレ達は…
その最期の瞬間を
見ているというのか…」
リオンはそう言うと、
右手で地面を思い切り叩いて
悔しそうに涙を流した。
「敵わん…オレにはウルは超えられない」
「す、すげーな…お前らの師匠!!」
ナツは興奮した様に頬を紅潮させて、
Aとグレイに言った。
デリオラの最期の姿を見ながら、
グレイはウルの言葉を思い出していた。
"お前の闇は私が封じよう"
「ありがとうございます…師匠…」
グレイは右手で自身の目元を隠し、
ウルへの感謝の言葉を呟きながら
涙を流していた。
それを見ていたナツの表情は笑顔だった。
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作者名：ゆき | 作成日時：2023年3月24日 11時
