妖精の尻尾の姫_4章【FAIRYTAIL】 (ページ17)

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魔力暴走① ページ17

「お、お前…
　し…知って…た…のか…」

グレイは痛みに耐える様に、
息を荒くしながら途絶え途絶えにそう言った。

そんなグレイにAは駆け寄ると、
グレイの脇腹に両手を向けて氷で止血した。

『リオン!!あの氷の事を知ってたの!!?
　なら、尚更何で…』

「お前らだって、
　本気で信じてる訳ではなかろう。
　ウルが生きてるなどと」

「ぐう…う…がっ…」

「早く大人になる事だ」

「知ってて…こ…こんな事を…」

『リオン!!良い加減に…』

ドカッ――
Aがリオンに何か言おうとした時、
右脇腹を刺された筈のグレイが
リオンを殴り飛ばしていた。

「下がってろ、A」

『グレイ!!?』

「なっ…!バカな!!
　何故その傷で動ける!!?」

グレイはボロボロながらも、
自分の足でしっかりとそこに立っていた。

「もう限界だ」

「あ!?」

「助けてやりたかったが、もう限界だ」

ゆっくりと顔を上げたグレイは殺気立っていた。
Aはそんなグレイに初めて恐怖を感じた。

グレイは氷の弓を造ると、
一気に3本の氷の矢をリオンに向かって放った。

リオンはその素早さに反応しきれず、
全ての攻撃を喰らってしまった。

ドガッ――
普段のグレイからは考えられない程、
荒々しくて凶暴的な攻撃だった。

「がっ」

『グレイ、やめて…』

ドガッ、ガッ――
リオンも負けじとグレイに拳を振るった。
2人の殴り合う鈍い音が次々とAの耳に入る。

「ぐはっ」

『リオンも…もうやめよう…?
　2人が争ってるところを…
　もう見たくないよ…』

Aがいくら声をかけても、
今のグレイとリオンには届かなかった。

『もう…もうやめてよ!!』

大声でAがそう言った瞬間、
気持ちを汲み取る様に
Aの身体から魔力が溢れ出した。

「A…?」

最初に違和感に気付いたのはグレイだった。
グレイはリオンを殴り続ける拳を止めた。

「このオレが、
　グレイ如きに血を流すなど…
　あってはならんのだ!!」

よろめきながらも、
リオンは右手に魔力を集中させた。

「アイスメイク…白竜(ｽﾉｰﾄﾞﾗｺﾞﾝ)!!」

リオンはAに目もくれず、
グレイに向けて魔法を放つと
氷の竜はグレイの腹部に噛み付いた。