妖精の尻尾の姫_3章【FAIRYTAIL】 (ページ38)

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取り戻す決意ページ38

リオンがAと手下を連れて
グレイの元から姿を消して
少し経った頃――

グレイは悔しさで顔を歪めていた。

「(身体が動かねぇ…
　リオンを止める事が出来なかった上に、
　Aがリオンに連れて行かれちまった…

　ちくしょう…
　オレは大事な奴すら…守れねぇのかよ!!)」

「だせぇな…派手にやられやがって」

グレイは顔を上げて声の主の方を見た。
そこに立っていたのは、
身体が氷で覆われたままのナツだった。

「ナツ…お前…何で…ここに…」

「村がどっちか分かんねぇから、
　高いトコまで戻ったんだよ。
　あっちだ!!ホレ…行くぞ」

ナツはそう言うと、
グレイの服を引っ張って
引き摺る様に歩いた。

「リオン…は…?」

「知らん。
　誰もいなかったし儀式も終わってた。
　くそっ!ルーシィが苛められてたら、
　オレ達のせいだぞ!!」

ナツはそう言って、
グレイを背負う様に持ち上げた。

「そういえば、
　Aは何処に行ったんだ?
　お前と一緒じゃねぇのかよ」

「リオンに…連れて行かれた…」

「あの野郎!!
　見つけ次第、燃やしてやる!!!!」

「(いや、Aが連れて行かれたのは…
　守れなかったオレのせいだ…あの時だって…)」

グレイは昔の事を思い出していた。

"よせ!デリオラなんか勝てる訳がないだろ!!
　お前じゃ無理だ、グレイ!!"

最初に脳裏に浮かんだのは、
師匠であるウルが叱る様な顔つきで
幼いグレイに言った言葉だった。

次に脳裏に浮かんだのは、
ガルナ島へ行く前のハルジオンの港で
ナツとグレイが繰り広げた会話だった。

"オレはS級クエストやるんだ!!!!"

"オメーらの実力じゃ、
　無理な仕事だからS級って言うんだよ!!!!"

「(何だよ…
　言ってる事、矛盾してるじゃねえか…)」

グレイはそう思うと小さく口を開いた。

「ナツ…」

「あ?」

「オレにはお前の事…言えねぇ…何も言えねぇ…
　それに…Aを守れなかった…」

悔しさで涙を流すグレイを見たナツは叫んだ。

「負けたくれぇでグジグジしてんじゃねぇ!!
　オレ達は妖精の尻尾(ﾌｪｱﾘｰﾃｲﾙ)だ!!!!

　止まる事を知らねぇギルドだ!!
　走り続けなきゃ生きられねぇんだよ!!!!

　Aは助けに行けば良い!!
　そんで、次こそ守るって
　約束すれば良いだろ!!」

「ナツ…あぁ、そうだな。
　(オレが必ず…Aを取り戻す)」

ナツの言葉によって、
気持ちが落ち着いたグレイは決意を固めた。