月の雫�� ページ32
「くそ…昼起きたせいで眠い」
「おおーん」
「結局、侵入者も見つからなかったし」
「本当にいたのかよっ!」
「悲しい事ですわ…"零帝"様。
昼に侵入者がいた様なのですが…
取り逃がしてしまいました。
こんな私に愛は語れませんね」
「侵入者…」
「『!!』」
Aとグレイは
その声に聞き覚えのある様で、
敏感に反応していた。
「アイツが零帝か!?」
「偉そうな奴ね。
変な仮面つけちゃって」
「デリオラの復活はまだなのか」
「この調子だと今日か明日には…と」
「どっちだよ!」
「いよいよなのだな…」
零帝の口元に笑みが浮かんだ。
「侵入者の件だが、
ここにきて邪魔されたくないな」
「えぇ」
「この島は外れにある村にしか人はいないはず」
零帝は小さく呟いて少し考え込んだ後、
手下の3人に命令を下した。
「村を消して来い」
「はっ!」
「了解!」
「おおーん!」
零帝から命令が下った3人は、
村に向かって走り出した。
「何だと!?」
「村の人達は関係ないのにっ!!
ど…どうしよう!!?」
ナツ達は零帝の言葉に慌てていたが、
Aとグレイは身体を震わせていた。
「血は好まんのだがな…」
「この声…おい…嘘だろ…」
『そんな訳…ない…よね…?』
Aとグレイはそう言うと、
目を見開いて困惑していた。
「もうコソコソするのはゴメンだ!!
邪魔しに来たのはオレ達だ!!!!」
すると、
我慢出来なかったナツが
岩陰から姿を現すと、
空に向かって咆哮を放った。
その炎は注目の的となり、
その場にいた誰もがナツを見ていた。
「もう…なる様にしかならないわね!!」
「あの紋章!
妖精の尻尾(ﾌｪｱﾘｰﾃｲﾙ)ですわ!!」
「なるほど…
村の奴等がギルドに助けを求めたか」
「何をしている。早く村を消して来い」
零帝はナツには興味の目を持たず、
3人に先程と同じ命令を下した。
「邪魔する者、それを企てた者、全て敵だ」
その瞬間、
グレイが零帝に向かって駆け出していた。
「てめぇぇえっ!!」
『グレイ!!』
「ちょっと!2人とも!!」
「A!グレイ!」
Aもグレイを追いかける様に駆け出した。
Aとグレイの突然の行動に、
ルーシィとハッピーは困惑していた。
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作者名：ゆき | 作成日時：2023年3月20日 14時
