妖精の尻尾の姫_3章【FAIRYTAIL】 (ページ30)

今日:33 hit、昨日:95 hit、合計:29,841 hit

過去の記憶③ ページ30

「隣…良いか?」

『うん』

グレイはAに許可を取ると、
Aの隣に座った。

『グレイ、大丈夫?』

「大丈夫だ」

『そっか…』

Aは小さく呟くと、
それ以上は何も聞かなかった。

2人の間に暫く沈黙が続いていると、
グレイが突然口を開いた。

「Aは大丈夫なのかよ」

『えっ…?』

「アイツを見た時から、
　ずっと顔色悪ィぞ」

『デリオラの事は、
　まだ克服出来てないみたい…

　さっきも急に、
　私が座り込んじゃったから
　ナツ達に心配かけちゃったし』

Aはそう言って無理した様に笑った。

「A…あのだな…」

『ウルの事、気にし過ぎだよ』

「でも、オレが…」

『ウルは命を懸けて
　私達を守ってくれた…
　
　だから、
　グレイが罪悪感を
　感じる必要はないんだよ?』

Aはそう言って、
震える手でグレイの手を握った。

『デリオラを見ると、
　昔の事を思い出しちゃって
　凄く怖いけど…

　私の隣にグレイがいてくれたら、
　少しは立ち向かう事が出来ると思ってるの』

「A…」

Aがそう言うと、
グレイはAの手を握り返した。

「オレが絶対に何とかする。
　Aが恐怖に支配される事なく、
　ずっと笑ってられる様に…」

『絶対に無茶しないって…約束してくれる?』

「それはAもだろ。
　無茶ばっかして、
　いっつも心配かけさせやがって」

『ごめんね。
　でも、グレイまで
　いなくなったら私は――
「今のAには、
　妖精の尻尾(ﾌｪｱﾘｰﾃｲﾙ)があるだろ」』

グレイはAの言葉を遮る様にそう言った。

『それはグレイもだよ!!
　変な事を考えてたら、
　本気で怒るからね!!!!』

「…今のうちに、
　ナツみてーに寝て体力温存しとけ。
　夜になれば、
　何が起こるか分からねぇからな」

話を逸らす様にそう言うと、
グレイは元いた場所へ戻って行った。