月は出ているか�� ページ18
その日の夜――
モカの話を聞いた後
A達は一通り村を見回っていたが、
紫の月と悪魔の様な姿に変貌する事を除けば
何の変哲もない、ごく普通の村だった。
「見れば見るほど不気味な月だね」
ハッピーはモカが貸してくれた部屋の窓から、
空に浮かぶ紫の月を見ていた。
「ハッピー、早く窓閉めなさいよ。
村長さんの話を聞いてなかったの?」
「何だっけ?」
「月の光を浴びすぎると、
あたし達まで悪魔になっちゃうのよ」
そう言われたハッピーは、
窓を閉めてナツの隣に座った。
「それにしてもまいったな」
「流石に月を壊せってのはな…」
「うん…」
「何発殴れば壊れるか見当もつかねぇ」
「そういう問題!?」
「壊す気かよ!?」
『そうだよ、ナツ。
素手はちょっと厳しいと思うよ?』
「Aもかよ!!?」
ナツとAは月を破壊する気満々でいた。
「何だかんだ、
Aも妖精の尻尾(ﾌｪｱﾘｰﾃｲﾙ)の
ぶっ飛んだ魔導士の1人って事なのね…」
「Aもたまに、
抜けてるトコあるんだよなぁ…」
グレイは溜息を吐いた後、
Aとナツに向かって言った。
「無理なんだよ。
月を壊すなんてよぉ」
「そうね…
どんな魔道士でも、
それは出来ないと思う」
「でも、月を壊せってのが依頼だぞ。
依頼を受けといて出来ねぇってんじゃ、
妖精の尻尾(ﾌｪｱﾘｰﾃｲﾙ)の名が廃る」
「出来ねぇモンは出来ねぇんだよ!!
第一、どうやって月まで行く気だよ」
「ハッピー」
「えっ!?流石に無理」
「んじゃあ、
Aとハッピーの力が合わさった
超MAXスピードで」
「だから、月を壊すのは無理だ!!」
「"月を壊せ"っていうのは、
きっと被害者の観点から出てくる
発想じゃないかしら…
何か他に呪いを解く方法がある筈よ?」
ルーシィはそう言って考えていると、
目の前にいるAに視線を向けた。
「Aは依頼の事…どう思う?」
『そうだね…
依頼を解決するには、
あの紫の月が深く関わってくるのは
間違いないと思うよ。
月は本来、強い魔力を持っているからね!
そして、
月の魔力が何らかの原因でこの島に集まって
村の人達に害を及ぼしている…と、
私は思っているよ』
Aが自身の考えを述べると、
ルーシィは関心した様に目を輝かせていた。
「おぉっ!さっすがA〜!!」
グレイとナツは、
Aの冷静な分析力に唖然としていた。
これがS級魔導士の実力なのか否か――
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作者名：ゆき | 作成日時：2023年3月20日 14時
