ガルナ島へ�� ページ13
海上――
出発前に張り切っていたものの、
ナツは船酔いによって苦しんでいた。
「おぷ…」
『ナツ大丈夫?
気休めになるけど、
酔い止めの薬飲んでみる…?』
「今更なんだけどさ…
ちょっと怖くなってきた」
「てめ…人を巻き込んで何言ってやがる。
それに、Aまで巻き込みやがって…」
今更恐怖に震えるルーシィに、
ロープで身体を縛られた状態の
グレイが文句を言った。
「つーかオッサン!!何で急に船を出したんだ」
「オレの名はボボ…
かつてはあの島の人間だった…」
「えっ!?」
『ガルナ島の…
どうして島から離れたんですか?』
「逃げ出したんだ。
あの忌まわしき呪いの島を…」
「ねぇ…その呪いって?」
海を眺めていたハッピーがボボに問いかけたが、
ボボはその問いに一瞬顔を曇らせた。
「禍は君達の身にも降りかかる…
あの島へ行くとはそういう事だ」
『禍…』
Aは言葉を繰り返す様に小さく呟いた。
「本当に君達にこの呪いが解けるのかね?」
ボボがそう言った後、
身に付けているマントが風に揺れた。
すると、
風によってマントで隠れていた
ボボの左腕が露わとなった。
「悪魔の呪いを」
露わとなった左腕は
明らかに人間の腕ではなく、
それはまるで…悪魔の腕の様だった。
月明かり照らす呪われた島――ガルナ島
あたし達の向かうその島の一角で、
不気味な儀式が行われていた事は、
この時はまだ知らなかったんだ。
「オッサン…その手…」
「呪いって…まさか…その…」
「見えてきた…あれがガルナ島だ」
ボボが指差す方向を見ると、
一見どこにでもある様な普通の島が現れた。
「ねぇ…オジさん」
ルーシィの視線が島からボボへ戻った時、
船からボボの姿が消えていた。
「あ…あれ?いない?」
『いつの間に…』
「落ちたか!?」
「いないよ!」
「嘘!?どうなってんの!!?」
ハッピーは海に飛び込んで探していたが、
ボボの姿は何処にもなかった。
ゴォォオオオ――
「な…何の音?」
「きゃぁぁあ!!」
「大波だ!!」
大きな音を立ててA達に近付いて来たのは、
沖から押し寄せる巨大な大波だった。
「のまれるぞ!!」
「ハッピー!!船を持ち上げて飛ぶのよ!!!!」
「無理だよォ!!」
「おぷ…」
「つーかコレ解け!死ぬ!!」
『グレイ!ちょっと待って…きゃあ!!』
「A!!くそっ!テメェ等のせいで!!」
そうして、
巨大な大波は船ごとA達をのみこんだ。
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作者名：ゆき | 作成日時：2023年3月20日 14時
