緋色の空 ページ26
それから数時間後、明け方――
ナツ達はその場で待機となった。
天馬(ｸﾘｽﾃｨｰﾅ)に乗っていたヒビキ達が、
ここに向かってくるのだった。
「Aとエルザ…
どこ行ったんだろ…」
「しばらくそっとしてあげよ…」
「あい…」
一方、その頃――
Aとエルザは、
ナツ達のいる場所から
少し離れた丘の上にいた。
互いに無言の状態が続いていたが、
エルザにとってそれはとても有り難かった。
「ジェラール…」
表情が見えない程に俯きながら
ジェラールの名前を呟くエルザの脳裏に、
過去のとある出来事がよぎった。
10年前 楽園の塔――
それはエルザが、
楽園の塔に連れて来られて
すぐの出来事だった。
「ジェラール・フェルナンデス…
うわー覚えづれぇ」
「そういうお前も、
ウォーリー・ブキャナンって忘れそうだよ」
ジェラール達も
ここに連れて来られたばかりの様で、
互いに自己紹介をしていた。
「エルザ、お前は?」
「私はエルザ…ただのエルザだよ」
幼いエルザは困った様な笑みを
浮かべながらそう答えた。
「それは寂しいな」
幼いジェラールはそれを聞くと、
小首を傾けながら何か考え込んでいた。
サラッ――
するとジェラールは
エルザの背後に回って、
緋色の髪に触れた。
「おおっ」
「ちょ…何よぉ」
突然髪を触られたエルザは、
戸惑った様に頬を赤く染めた。
「綺麗な緋色(ｽｶｰﾚｯﾄ)…そうだ!
エルザ・スカーレットって名前にしよう」
「名前にしようってオマエ…
そんなの勝手に…」
ウォーリーは呆れた様にツッコミを入れるが、
エルザは嬉しそうに自身の髪に触れていた。
「エルザ…スカーレット…」
「お前の髪の色だ。
これなら絶対忘れない」
そう言って笑う
幼いジェラールの笑顔を、
エルザが忘れる事はなかった。
時は戻り、現在――
エルザはとうとう、
涙を堪え切れなくなった。
「ジェラール…」
再びジェラールの名前を呟きながら
膝をかかえて涙を流すエルザに向けて、
Aは寄り添う様に歌い始めた。
『♪〜』
その歌声は寂しげではあるものの、
エルザを元気付けようとする思いが
確かにあったのだった。
9月7日 晴れ
その日の朝焼けは、
今まで見た事のないくらいに
美しい緋色に染まっていた。
エルザの髪の色の様に、
あたたかく情熱的に。
顔を上げれば、
美しい空が広がっているのに。
顔を上げれば…
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ゆき(プロフ) - マナさん» 膨大ではあるものの他のキャラ達の様に主人公の魔力も有限で、治癒魔法を使うたびに大量の魔力を使うため、連続して使うと魔力切れを起こしたりします。 (12月15日 22時) (
レス) id: 1bec50f28f (このIDを非表示/違反報告)
マナ - ゆきさん» この話の主人公は魔力が膨大なんでしょうか？？ (12月15日 16時) (レス) id: a0ba238726 (このIDを非表示/違反報告)
マナ - ゆきさん» 主人公は魔力が膨大なんですか？ (12月15日 12時) (レス) id: a0ba238726 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - マナさん» マナさん初めまして！ネタバレになりそうな部分でしたらお答え出来ませんが何でしょうか？ (12月15日 10時) (レス) id: 1bec50f28f (このIDを非表示/違反報告)
マナ - こんにちは！グレイオチで教えてほしいのですが…大丈夫ですか？ (12月15日 6時) (レス) id: a0ba238726 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆき | 作成日時：2023年12月15日 0時
