妖精の尻尾の姫_11章【FAIRYTAIL】 (ページ7)

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兄と妹③ ページ7

それから4年後、X778――
この年は大きな出来事があった。
ラクサスが最年少で、
S級魔導士昇格試験に合格したのだ。

『みーつけた!!』

木の上で読書をしていたラクサスは、
その声の主を見る様に見下ろした。

「よくここが分かったな、A」

『お兄ちゃんの魔力を辿ったの!
　ここにいるなんて珍しいね!!』

「アイツ等、
　喧嘩ばっかでうるせぇからな」

『ナツとグレイは、
　顔を合わせる度に喧嘩してるもんね…』

Aはそう言って、
困った様に苦笑していた。

「よくアイツ等の仲裁をやれるな。
　オレだったら力で捻じ伏せてやるのに」

『仲裁する人が、
　喧嘩の種を増やしちゃダメだよ?』

「それでオレに何か用か?」

『今度私をS級クエストに連れて行って!!』

その言葉を聞いたラクサスは、
顔を顰めていたのだった。

「仕事ならグレイと行けよ。
　Aはアイツとチーム組んでるだろ?」

ラクサスはそう言い捨てると、
木から降りて何処かへ歩き出した。

遠ざかっていくラクサスの背中を、
Aは慌てて追いかけた。

『S級クエストはグレイと2人で行けないよ!
　私もグレイもS級魔導士じゃないもん』

「S級クエストは危険な仕事ばかりだ。
　もっと強くなったら連れて行ってやるよ」

再び歩き始めるラクサスだったが、
回り込んだAが目の前に立ちはだかった。

『私もS級クエストに行ってみたいの。
　普段ラクサスが行ってる仕事が、
　どれだけ大変で危険なのかを
　身を持って知りたいから…』

「ハァ…明日の朝、ギルドの前で待ってろ。
　それまでに依頼を選んでおく」

『えっ…良いの!?』

そう言ってAを避けた後、
ラクサスは何処かへ歩いて行った。

「お前も早くS級魔導士になれ。
　オレが何度も連れて行くのは御免だ」

『絶対来年に試験を受けて、
　ラクサスの最年少記録を
　私が破ってみせるんだから!!』

Aがそう宣言した後、
ラクサスの肩が笑った時みたいに
僅かに小さく震えた様に見えたのは、
きっと気のせいではない筈――