妖精の尻尾の姫_11章【FAIRYTAIL】 (ページ6)

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兄と妹② ページ6

「お前に1つ教えてやる。
　苦しみや悲しみは、
　1人で抱えられねぇ時がある…
　
　けれど妖精の尻尾(ﾌｪｱﾘｰﾃｲﾙ)の仲間がいれば、
　苦しみや悲しみを共有して半分になるんだ」

『苦しみや悲しみが…半分に?』

「そうだ。
　仲間が苦しみや悲しみを
　受け入れて傷を癒してくれる…
　だから妖精の尻尾(ﾌｪｱﾘｰﾃｲﾙ)は最強なんだ」

『仲間がいれば…』

「だからお前は、
　もっと弱いトコ見せて
　アイツ等を頼ってみろよ」
　
『肝に銘じておきます』

「ガキの癖に強がりやがって」

ラクサスはそう言いながら、
Aに背中を向けて扉へと向かった。

『ま、待ってください!ラクサスさん!!』

そんなラクサスを、
Aは慌てて引き留めた。

『さっきは励ましてくれて、
　ありがとうございます!!』

「ガキがさん付けすんなよ。
　あと、敬語もだ。
　そうだな…
　これからはお兄ちゃんって呼べよ。
　ジジィがお前の事を、
　妹の様に可愛がれって言ってたしな」

『は…うん、お兄ちゃん』

「その調子だ」

そう言いながら自身の頭を撫でる
ラクサスの優しい手のぬくもりを、
Aは今でも忘れる事はなかった。

その出来事があってからは、
ラクサスが何処かへ行こうとする度に
Aは注意されながらも後ろをついていった。

「…ったく、
　お前はいつまで
　オレの後をついてくるんだよ」

「おいラクサス!
　随分Aちゃんに懐かれてんな!!」

「案外満更でもねぇ…ってか。
　これはグレイが黙ってねぇぞ」

ワカバとマカオがラクサスを茶化していると、
後ろをついてきていたAが口を開いた。

『お願い!お兄ちゃん!!
　私に雷の魔法を教えて!!!』

「何言ってんだよ。
　お前には大好きな師匠から教わった
　氷の造形魔法があるじゃねぇか」

『私、また目標に向かって頑張りたいの』

「目標?」

『うん…私の目標は、
　ウルみたいな強い魔導士になる事なの。

　だからウルでも出来なかった、
　複数属性の魔法が使える魔導士に
　私はなりたいの!!』

「複数属性の魔法が使える魔導士…ねぇ」

「大きく出たな!A!!」

『だからお願い!お兄ちゃん!!』
　
「ハァ…」

ラクサスは深い溜息を吐いた後、
Aの目をジッと見つめた。

「本気…みてーだな。
　オレは優しく教えられねぇからな」

『ありがとう!お兄ちゃん!!』

ラクサスはこの日を境に、
Aが雷の魔法を習得するまで
付きっきりで教えたのだった。