妖精の尻尾の姫_11章【FAIRYTAIL】 (ページ5)

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兄と妹① ページ5

今から10年前、X774――
ラクサスと出会ったのは、
Aが妖精の尻尾(ﾌｪｱﾘｰﾃｲﾙ)に
入ったばかりの頃だった。

「何だ、そのチビ」

「新入りのAじゃ!
　妹の様に可愛がるんじゃよ!!」

そう言ったマカロフの背中に隠れながら、
Aはおずおずと挨拶をした。

『は、初めまして…
　A・フェリス…です…』

Aから見た
ラクサスの第一印象は"怖い"だった。

しかし、
その印象を大きく変える
出来事が起こったのだった。

『グズッ…ウル…』

妖精の尻尾(ﾌｪｱﾘｰﾃｲﾙ)に
入ったばかり頃のAは、
ウルを思い出していつも泣いていた。

グレイとカナがギルドにいない時は、
2階にある倉庫によくこもっていたのだった。

「何で1人で泣いてんだ?」

『ラクサスさん…何でここに…』

「隣の仮眠室で寝てたら、
　お前の泣き声が聞こえたからな。
　それで…どうかしたのか?」

『それが…』

Aはギルドに入る前に起こった出来事を、
ラクサスに打ち明けたのだった。

「それでお前は大好きな師匠を想っては、
　ここに引きこもって泣いている…って訳か」

『前を向くためにも
　強くならなきゃって
　思ってはいるんですけど、
　ウルの事を忘れられなくて…』

「バカだな、お前」

『バ、バカって…!!』

それを聞いたAは、
見上げる様にラクサスを見つめた。

「そんなにその師匠の事が好きだったなら、
　簡単に忘れられる訳ねぇだろ?
　無理して忘れようとしなくて良い」

『ウルの事を忘れられなかったら、
　私はずっと前を向いて生きていけない…』

「お前は新入りだから
　まだ他の奴の事も知らねぇと思うが、
　ここはお前みたいに
　何かを抱えてる奴が多いんだ」

『みんなも何かに苦しんでる?
　でも凄く前向きな人ばかりで…』

それを聞いたAは疑問を浮かべていると、
ラクサスが口を開いたのだった。