妖精の尻尾の姫_11章【FAIRYTAIL】 (ページ22)

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突然の再会① ページ22

夜、マグノリアの街――
上機嫌なルーシィは、
Aとともに運河沿いを歩いていた。

「明日は楽しいお仕事の日～♪」
　
『久々の仕事だから腕が鳴るね!!』
　
「Aちゃんにルーシィちゃん、危ねーぞ」

運河を渡る小舟に乗っている男性の1人が、
Aとルーシィに向かって言った。
　
「へーキヘーキ!!」
　
「気を付けて帰れよー」
　
『ありがとうございまーす!!』

Aとルーシィは石段を降りると、
小舟に乗っている男性の1人に手を振った。
　
『…!!』
　
誰かの気配に気付いたAは、
思わず振り返った。
　
「A、どうしたの?」
　
ルーシィもつられて振り返ると、
建物の陰に隠れるフードを被った怪しい男性が
こちらを見ていたのだった。

「ひっ…!!」

『ルーシィ、行こう』

ルーシィがその人物を見た瞬間、
身体を震わせていた事に気付いたAは
ルーシィの手を強く握って引っ張った。

「やっぱり誰かに見られてるじゃないっ!!」

『出来るだけ早く帰ろう。
　もしあの人が
　ルーシィの家を知ってる様だったら、
　暫く私の家で匿っていれば大丈夫だよ』

小声でそんな会話を繰り広げながら、
Aとルーシィは歩調を速めていった。

『あの人は偶然、
　私達を見てた訳じゃなさそうだね』

Aの言葉にルーシィが振り返ると、
怪しい男性がこちらを見ていたのだった。

「(ついてきてる!!)」

それに気付いたルーシィは更に歩調を速め、
Aは先導するかの様に少し前を歩いていた。

「(ストーカーかしら、
　変質者かしら、
　人攫いかしらー!!)」

『ルーシィのファンって感じじゃなさそうだし、
　あの人の目的は何なんだろう…』

Aが呟きながら
チラリと後ろを確認した瞬間、
その歩みを止めたのだった。

「A!何で止まるの!?」

『いないよ!!』

「えっ…?」

確認するかの様にルーシィが振り返ると、
そこには誰もいなかった。

「いない…」

『何とか撒けたのかな…』

Aとルーシィが、
安堵の溜息を吐いた瞬間――
　
「ルーシィ」

「『きゃあああっ!!?』」
　
背後から急に聞こえてきた声に反応して、
Aとルーシィは悲鳴を上げたのだった。

「やめてええぇ!!」
　
『ル、ルーシィには指一本触れさせない!!』

Aがルーシィを庇う様に前に出た瞬間、
怪しい男性がフードを取った。