妖精の尻尾の姫_11章【FAIRYTAIL】 (ページ16)

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幻想曲(ファンタジア)② ページ16

「よ…よせって!
　グダグダじゃねーか!!」

「あはははっ!!」

「あっ!マスターだ!!」
　
「マスターが出てきたぞ!!」

最後に登場したフロートの上には、
ギルドマスターであるマカロフの姿があった。

マカロフはファンシーな衣装を身に纏い、
フロートの上で踊っていた。

「何か妙にファンシーだ」
　
「似合ってねぇ!!」
　
「そのコミカルな動きやめてくれ」

そんなマカロフの姿を、
ラクサスは微笑みながら眺めていた時――

「おい…あれ、妖精姫じゃないか!?」

「姫ー!こっち向いてぇー!!」

歓声を上げる観客達の視線を追うと、
マカロフがいるフロートの後方にAがいた。

Aは童話に登場する
お姫様が着るドレスを身に纏い、
沢山の花に囲まれながら座り込んでいた。

「待ってました!Aちゃーん!!」

「本物の妖精みたいだ!!」

「あの子を見るために、
　クロッカスから来たんだ!!」
　
Aが登場した事で、
今日1番の盛り上がりを見せていた。

『(ラクサスに届いて…)』

可愛らしい歌声、
憂いを帯びた表情、
観る者を釘付けにする動き――

Aの歌う姿が、
観客達の心に刻み込まれたのだった。

「(A、大きくなったな…)」

過去の辛い出来事を思い出して
よく1人で泣いていたあのAが、
堂々と人前で歌って沢山の人々を魅了していた。

感慨深い気持ちになりながらも
歌うAの姿を見届けたラクサスが、
その場から立ち去ろうとしたその時――

マカロフが空に向かって右腕を上げ、
人差し指と親指を立てていた。

それはマカロフだけではなく、
幻想曲(ﾌｧﾝﾀｼﾞｱ)に参加している
妖精の尻尾(ﾌｪｱﾘｰﾃｲﾙ)の魔導士全員が、
笑みを浮かべながら同じポーズを取っていた。

「!!」

それを見たラクサスは、
幼い頃に観た幻想曲(ﾌｧﾝﾀｼﾞｱ)の事を
思い出していたのだった。