妖精の尻尾の姫_11章【FAIRYTAIL】 (ページ14)

今日:32 hit、昨日:31 hit、合計:20,910 hit

しばしの別れ② ページ14

夕方、マグノリア南口公園――
Aは1人になりたくて、
誰にも告げずギルドを抜け出した。

マカロフとの話し合いで決まった
ラクサスの処分の事を思い出した途端、
Aの目から涙が溢れそうになっていた。

そんなAの頭に、
誰かの大きな手が置かれた。
　
『ラクサス…』

「泣き虫なトコは変わらねぇな」

『な、泣いてなんかないもん!!』

「悪かったな、A。
　それと…ありがとな」

『うん…』

「そんな顔すんなよ。
　お前が悲しむ事は何もねぇよ」

ラクサスはそう言ったが、
Aは泣きそうな顔をしたままだった。

『ラクサス…』

ラクサスの服の袖を控えめに掴むと、
か細い声でAがラクサスの名を呟いた。

「何だ?」
　
『絶対にギルドに帰って来るって…
　また会えるって…約束してくれる…?』

そう言った瞬間、
Aの目に溜まっていた涙が溢れたのだった。

ラクサスは不覚にもそれを綺麗だと思った。

それを誤魔化すかの様に、
ラクサスはAの涙を優しく拭った。

「あぁ…約束する。
　その時はまた土産をやるよ」

『うん、楽しみにしてるね』

ラクサスがそう言うと、
Aは少し元気を取り戻したのだった。

『お土産で思い出したんだけど…
　この間私にくれたあの花の事が分かったよ』

「…調べたんだな」

『あの花の名前はカランコエ。
　花言葉は"あなたを守る"…
　私はラクサスに守られてるだけじゃ嫌。
　今度は私がラクサスを守らせて』

「お前のその気持ちだけで十分だ。
　次会う時までにもっと強くなれよ」

『…ねぇ、ラクサス。
　今日の幻想曲(ﾌｧﾝﾀｼﾞｱ)は観てってね』

「あぁ」

ラクサスは返事をすると、
Aを自身の腕の中に閉じ込めた。

『ラクサス…?』

「A、お前の事が…いや、何でもねぇ…
　これ以上、Aといたら気が変わりそうだ。

　オレはもう行く…
　お前は早くギルドに戻って、
　幻想曲(ﾌｧﾝﾀｼﾞｱ)の準場しとけよ」

『うん…ラクサス、またね』

Aがそう告げると、
ラクサスはAの頭を優しく撫でて
その場から去ったのだった。