妖精の尻尾の姫_11章【FAIRYTAIL】 (ページ11)

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涙を揮って馬謖を斬る④ ページ11

ギルド内医務室――
ラクサスは壁に寄りかかって、
ベッドで眠るAの姿を見つめていた。

「どうじゃ、ポーリュシカ」

「だいぶ魔力を取り戻しているみたいだ。
　けれど無理して魔法を使ったせいか、
　完全に魔力を取り戻すまでに
　もう少し時間がかかりそうだよ」

マカロフにそう言うと、
ポーリュシカは眠っているAの頭を撫でた。

Aを見つめるポーリュシカの目は、
自身の娘や孫に向けるものの様に優しかった。

「本当に世話のかかる子だね…アンタは。
　それじゃあ、私はもう帰るよ」

ポーリュシカが出て行った後、
扉の向こうからギルドのメンバー達の
楽しそうな声が聞こえてきたのだった。

「騒がしい奴等だ」

「お前は…自分が何をしたか分かっているのか」

マカロフはベッドから身体を起こして、
ラクサスを真っ直ぐに見つめた。

「ワシの目を見ろ」

そう言われたラクサスは、
Aを見つめる顔を正面に向けて
真っ直ぐにマカロフを見た。

「ギルドというのはな…
　仲間の集まる場所であり、
　仕事の仲介所であり、
　身寄りのねぇガキにとっては家でもある。
　お前のものではない。

　ギルドは1人1人の信頼と義によって形となり、
　そしてそれはいかなるものより強固で
　堅固な絆となってきた」

「…」

ラクサスは何も言わず、
黙ってマカロフの言葉を聞いていた。

「お前は義に反し、仲間の命を脅かした。
　これは決して許される事ではない」

「分かってる」

暫く沈黙が続いた後、
ラクサスは顔を俯かせながら
自身の拳を強く握っていたのだった。

「オレは…Aのためにも、
　このギルドをもっと強くしようと…」

それを聞いたマカロフは、
息を吐きながらベッドから降りた。