不機嫌な彼を攻略するには２ (ページ5)

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俺のことだけ考えて？ページ5

としみつsaid

てつやから、Aが知らない男に襲われかけたって電話があった。

頭に血が上って、気づいたら家飛び出して車に乗ってた。

てつやに言われた場所に行くと、車の中で不安そうな顔をしているAがいた。

Aは大丈夫なのか？

何された？

怪我してない？

聞きたいことは山ほどあって、すぐにでもAを抱きしめたい。

そんな俺をてつやが落ち着かせてくれた。

一番混乱してるのはA。

俺がパニックになってどうする。

Aの気持ちを一番に考えてあげないと。

とりあえずAは俺の家に行くって言ってくれたから、てつやと別れて、助手席にAを乗せて家に帰る。

いつもと比べて明らかに言葉数が少ない。

今はまだあまり話したくないのかもしれない。

少しでも怖い気持ちがなくなるように、小さな手を握りながら車を走らせた。

『おじゃまします…』

と「疲れてる？
シャワー浴びて休む？」

頭を振る。

『としみつくん…』

と「ん？」

しばらく俯いて、遠慮がちに俺に抱きついてきた。

背中に触れたAの手は小さく震えていて、胸が痛くなる。

出来るだけ優しく抱きしめる。

Aをこんな目に合わせた奴のことを考えると、どんだけ殴っても気が済まないけど、今はただ目の前の愛しい人の心を軽くしてあげたい。

と「A。
俺のこと好き？」

俺の腕の中で小さく頷く。

と「俺もAのことが大好き。
頭の中一回空っぽにして俺のことだけ考えて？」

表情は見えないけど、少しだけ震えがおさまった気がする。

と「ん、上手。」

『……あの…
わたし、ね……』

弱々しい声で、ぽつり、ぽつりと話し出した。