1328話 ページ28
✩
｢A先輩！たた、大変です…！｣
｢どうしたんですか？｣
顔を真っ青にさせて、ええと…Knightsの新人かな
その人たちは私に縋りついてきた
揉めてるの？
｢だから、俺はさっきからそう言ってるよねぇ！？｣
｢ですから！瀬名先輩の意見がどうであれ、実権を握っているのは私のほうなんですよ！｣
｢A先輩…！｣
｢所長…！｣
｢え…うわっ！？｣
背中押されたんだけど！
勢いよく部屋に入ると、案の定全員に見られた
｢お、お邪魔します…♪｣
｢何かご用でしょうか。生憎、今は会議中なのですが｣
｢その…はぁ、嘘は苦手です。新人の皆さんが心配してましたよ｣
お説教とかは苦手だなぁ
だから私はあの人たちの素直な感想をそのまま伝えた
｢尊敬してる先輩方を、自分たちのせいで苦しめているなら…解散するべきなのかもしれないって｣
｢ほら。だから言ったでしょ｣
｢でも、それは凄く悔しい…って｣
｢…｣
｢今までこんなに良くしてもらったのに、何も恩を返せないまま消えるのは嫌だって涙ぐんでましたよ｣
私がそう言うと、さっきまであんなに討論していたのに全員が黙ってしまった
｢人のこと心配してる場合？｣
｢…え？｣
｢俺たちのことは良いから、レッスンしてきたどうなの。人のことばっかり気にして、Aは昔から優しすぎるよね｣
その言葉を聞いたとき、どきっとした
この流れはまずい
｢凛月ちゃん、それってどういう…｣
｢ち、違うんです！私はただ、Knightsが心配で…｣
｢俺は今、余計なお世話を焼いてる場合かって聞いてんの｣
｢っ…｣
その目には、いつもみたいな優しさが何処にも見当たらなかった
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作者名：赤月 音 | 作成日時：2021年4月5日 0時
