1093話 ページ43
✩
｢…あっ｣
そういえば、もうじき盂蘭盆会の開催日だったよね
えへへ、楽しみだな〜♪
｢最近やけに大企業の社長が顔を見せに来ますね…裏で何か起きているのでしょうか｣
｢…た、多分、｣
｢あっ！Aさ〜ん！！｣
｢社長とお喋りが終わったなら、副所長になんか構ってないで練習しましょ！｣
｢時間は有限です！｣
｢わわっ…！？｣
手を引っ張られた瞬間、私は何故か怖いと感じた
な、なんで…？
何で私はこんなに、一体何に怯えて…
｢これで全員揃ったな…A？｣
｢具合が悪ぃなら、お前は休んどけよ｣
｢だ、大丈夫！私は平気！｣
｢…｣
凛月とれいちゃんは、何か言いたそうな顔をしていた
ダメだよ、心配かけちゃ
｢でも…｣
｢っ…凛月！｣
｢…よしよし｣
私は怖くて、凛月に抱きついた
やだやだ
私には帰る場所がちゃんとある
だから、私の予想が…ただの勘違いであってほしいと本気で願った
｢大丈夫かA。最近変だぞ｣
｢…ごめん。いやえっと、ごめんじゃなくて、ありがとう…かな｣
｢…A。もうじき盂蘭盆会だねぇ｣
｢え？｣
私は凛月の意図がすぐに読み解けなくて、一瞬固まった
ええと、盂蘭盆会だから…
｢あっ、そうだね！えへへ、お客さんとして観るの楽しみ…♪｣
｢嫌な気持ちも忘れちゃうぐらい、いっぱい楽しんできてね…♪｣
｢うん！｣
凛月のおかげで、少しだけ気分が高揚した
さすが凛月、誘導うまいな〜
私も頑張らないと…♪
その後は皆で演奏をして、何とか形にできるまでにはなってきた
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作者名：赤月 音 | 作成日時：2021年3月15日 6時
