幸せのおすそ分け１４【あんスタ】

679話 ページ29

✩


｢お母さ〜ん、お風呂入っていい？｣

｢良いわよ｣


もう話が終わったのかな？

お風呂を口実にして話しかけてみると、いつも通りのお母さんだった

お姉ちゃんと喧嘩したの？


｢お姉ちゃん行ってきま〜す｣

｢ばいば〜い｣


んん？

お姉ちゃんでもなさそう

それじゃあお父さん？

でも、お父さんはまだ帰ってきてないし…


｢…｣


幻聴だったのかな

信号の音とか、予鈴とかよく聞き間違えるし

私が気にしすぎてただけだったりするのかな〜？


｢…｣ﾋﾟｺﾝｯ

｢ひっ…！？｣


だ、誰かいない…？

窓の外から、動画を撮ってる音が聞こえた

あの窓、外から見えないはずなのに…なんで…

私は怖くなって、風呂ふたで身体を隠した


｢っ…｣


何分経ったんだろう

一番風呂だったのと夏だったのもあって、それはもう熱すぎて限界だった

そもそも向こうからは見えないんだし、隠れなくてよかったのかも


｢はぁ…｣


何やってるんだか

私はシャワーの温度を少し下げて、ささっと身体を洗った

やっぱり気のせいだったのかな


｢長かったわね｣

｢あはは…あったかくてつい｣

｢あら珍しい｣

｢う、うん！｣


少し怖くなって、私はしばらく部屋に戻らないことにした

何となく、嫌な予感がしたから


｢お父さんの布団ふわふわ〜♪｣

｢それ絶対寝る体勢じゃない｣

｢ちょっと寝心地を確認してるだけ…♪｣

｢ふふっ、お父さんは今日リビングかしら｣

｢寝ないもん〜！｣


部屋に戻っちゃダメって、何となく頭でそう感じた

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