483話 ページ33
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「今から泣いてちゃダメでしょ、A?」
「な、泣いてない!頭撫でないで、泣きそうになるし、落ち着きそうになるから…」
会場に向かう時間で既に、私は全身に寒気がしていた
興味津々の皆さんに自分を見せびらかして…
あはは、私は芸を見せるお猿さんにでもなった気分
怖くて足に力が入らない…
「…A?」
「ど、どうしたの…うわっ!?」
「もしかして…熱ある?」
「…な、無いよ!私は大丈夫だから。それに、りっちゃんは今日私と戦うんだよ?好都合でしょ」
「否定しておいて秒で認めないでよ…よいしょ」
りっちゃんは私を軽々とおんぶしてしまった
今日は、りっちゃんとは対戦相手なのに…
「A羽でも生えてるのかってぐらい軽いし、これぐらい平気平気…♪」
「りっちゃんが優しいと…っ、泣きそうに、なっちゃうじゃんかああぁぁ…」
「も〜まだ向かってる途中だよ?負けてすらないのに」
「ひっく…うわああぁん!やだやだ!りっちゃんに勝てる訳ないのに…!」
「決闘を申し込んだのは俺だけど、受けて立ったのはAでしょ」
そうだけど…
赤ちゃんみたいにおんぶされながらあやされてると、会場が見えてきた
あんまりにも大きい会場に、私は見ただけでぞくっとした
ここで、今日…
「朔間凛月と、柊Aで〜す。あと、誰か冷やすもの持ってきてください」
「どうかなさいました?」
「Aが熱出しちゃって…___」
りっちゃんのライバルにはなりたいとは言ったけど
何もここまで早くする必要ないよね…?
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作者名:赤月 音 | 作成日時:2021年1月31日 6時