395話 ページ45
✩✩✩
｢…あれ？A？｣
いつもいるはずの時間帯に、何故か彼女はいなかった
不思議に思い連絡をしてみるも、その音は鞄から聞こえて彼は察した
｢(お風呂…でもないよねぇ。シャワーの音しないし)｣
彼女の家は壁が薄いから、大抵の音はほとんど聞こえる
どうしたもんかと悩んでいると、下から階段を上ってくる音が聞こえた
そして、慌てて彼はベッドに潜った
｢A〜。…寝てるのか？｣
｢…(あんたの娘はどっか行ってるよ！)｣
｢…頑張ってるんだな｣
パタンと扉が閉じる音を確認すると、彼は大きなため息をついた
｢あぶな…Aのパパが単純な人で助かった｣
｢…A、お父さん似だし｣
それから彼は何時間も彼女の帰りを待った
｢…！？りっちゃん！？｣
｢A！どこ行ってたの？俺すっごく心配したんだけど｣
｢あはは…ごめんね。急にベランダからお客さんが来て…｣
｢それ誘拐って言うんじゃ…誰？兄者？｣
｢…マネージャーさん｣
彼女がそう言うと、彼は驚いた
｢そんな人いたんだ…ていうか、そいつもベランダから侵入できるの知ってるんだね｣
｢聞いてよ、その人おかしくてさ〜…なんか自分で調べたとか言うんだよ？｣
｢それ大丈夫？変な事件に巻き込まれたりしそうなんだけど…｣
不安そうにする彼に対して、彼女は笑顔で答えた
その様子を見て少し心配な気持ちになる反面、そのマネージャーと打ち解けているのが分かって安心もした
｢ううん、あの人は絶対に悪いことはしないから大丈夫だよ〜♪｣
｢…そっか｣
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作者名：赤月 音 | 作成日時：2021年1月27日 18時
