318話 ページ18
✩
「そんなの許さないんだけど」
「…え?」
「俺が最後まで面倒を見てあげるって言ってんの」
何故か瀬名泉さんは殺気立っていた
え…な、なんで?
ご迷惑だと思って遠慮したのに…
確かに、レッスン室を借りるだけ借りて私は何も返せてないし
「ご迷惑じゃ…」
「俺がそんな風に思ってる顔に見える?」
「い、いえ…!」
「分かってるならいちいち聞かないでよ。お姫様をエスコートするのが騎士の役目でしょぉ」
「この前は女王様にするとか言ってなかったかしら?」
「うるさいクソオカマ」
私は理解した
それで、ちょっとだけ寂しく感じてしまった
あぁ、そっか
私はただの"代理"だったんだ…
でも良いや
「ふふっ、ありがとうございます!瀬名泉さんは優しいんですね…♪」
「途中で放り出したくないだけ。でも、素直にお礼を言える子は嫌いじゃないよぉ…♪」
「…あはは」
私は瀬名泉さんが手のかかる子を探してる事しかまだ理解できてないけど
多分これは、私じゃない誰かの代わり
それまで私は付き合いますよ
だって、こうして瀬名泉さんと関われるだけで私はもう最高に幸せだから…♪
「あのっ!」
「なぁに?今日はもう荷物まとめて帰るよ」
「その…見つかると良いですね♪」
「…っ!?」
「二人とも、どうかしたのォ?」
「……」
瀬名泉さんは血の気が引いたみたいに、顔がサーって青くなった
絶句って言葉は多分、こういう時に用いる用語なのかも
「…あんた、それで良いの?」
「はい!私は瀬名泉さんの支えになれたら、それだけで光栄すぎますから!」
「…………ごめん」ボソッ
小さく聞こえたその言葉は、本心だったんだと思う
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作者名:赤月 音 | 作成日時:2021年1月25日 9時