やけに奮発してくれる ページ30
その後、勉強を終えた二人はショッピングモールで少し買い物をしていた
カップルだと思われているのか、宝石店やブランド品を取り扱っている店でよく声をかけられているな
｢…兄者なら、こっちの方が好みなんじゃない？｣
｢えぇ！？口に出てた！？｣
｢顔に出てた…♪｣
｢す、凄いな〜…やっぱりこっちかな？｣
値段を指摘されてから、今年のお嬢様の誕生日プレゼントは数万円の香水だったな
その甘い香りのせいで男女共に喜ばせてしまっているが
性別を超えて愛されるなんて、罪深いお方だ…
｢今日遊んでくれたお礼に、服プレゼントするよ〜♪｣
｢さっきご飯奢ってくれたんだから良いよ。なぁに、やけに奮発してくれるねぇ？｣
｢もしかしたら、これが最初で最後かもしれないでしょ…♪｣
｢…｣
｢あ！あの服屋さん凛月くんっぽい！｣
寂しくない訳ではないんだろう
ただ、事実を口にすることで互いに受け入れようとしたんだ
｢これちょっと薄着じゃない？｣
｢春に着れそうだね〜…わぁ！やっぱ超似合う〜♪｣
｢これ着心地も良い感じ〜♪春なら下を白にしたら、もっと春っぽくなりそう…♪｣
｢ねぇあれ…か、かっこよすぎない…？？｣
今日だけでなかなかのファンを獲得してそうだな、あの子
｢それじゃあ、俺からも…｣
｢え？｣
｢一応合格はしてるんでしょ。第一希望じゃないだけで｣
｢ま、まぁ…そうだけど…｣
｢春から大学生なんだし、先輩にプレゼントさせてよ♪｣
内心、本当は二人とも悲しかっただろう
それでも二人はそういう柄じゃないから、ぐっと堪えて笑っていた
｢…ありがとうっ♪｣
｢どういたしまして〜♪｣
｢そ、そういえば私小中学生の時に使ってた服しかない…やば、春からどうしよ〜！？｣
｢え、まさかそれも…｣
｢これは中学生の時に買ったやつ！｣
｢…人に奢る前に自分の服買いなよ｣
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作者名：なな | 作成日時：2024年3月23日 17時
