よりにもよって ページ22
お嬢様は何とも不思議なお方で
神の加護でも付いているのか、かなり恵まれた方だ
要するに運が良い
｢(あの男がお嬢様をパチ屋に連れて行くのは目に見えてるし、場所は恐らくあの店だろう)｣
大体の場所が把握できれば自分も安心できる
あの男が何かの気の迷いでも起こさなければ良いが…
｢ふぁ、あふ…おや、タマくんではないか。明けましておめでとう…♪おぬしもお参りかのう？｣
｢(何でよりにもよってお前と会うんだよ…！)｣
｢なんじゃ？Aはおらんのじゃしお喋りしようぞ｣
｢随分と幸せそうな面だな｣
あぁ憎らしい！
こいつさえいなければ、お嬢様はそんな甘い蜜もまだ知らずにいられたと言うのに…！
自分が初めてじゃない事にも腹が立つし悔しい！
｢え？なんじゃ、聞いておらんかったのか？わざといつもの盗聴器を近くに置いておったのに…♪｣
｢正月から何聞かされてるんだ俺は…｣
｢それより、SSは見てくれたかのう？｣
｢ああ、もちろ…っ！｣
｢ほほう。やはりAが関わっておったのか｣
こいつ、俺が口を滑らせる為にわざとあんな会話を…
あいつもこいつも、どれだけ人を舐め腐ってるんだ
｢護衛なら、関わる前にどうにか対処して欲しいんじゃがのう｣
｢自分はお嬢様に釘を刺されているんだ｣
｢死に直結しない限りは、たとえ誰かに襲われても誘拐されても関わるな…って言うあれか｣
｢そうだ。分かったらどけ｣
今はいつも以上に顔も合わせたくない
お嬢様にあれほど怒られたのは久しぶりなんだ
少し、今でも胸が痛い
｢ところでタマくんや｣
｢だからなん…｣
｢今からどこに行くつもりなんじゃ｣
｢…教える義理もない｣
｢一応伝えておくが。おぬしが思っているよりもAは優しい子に育っておる｣
うるさい
自分の大好きで、尊敬しているお嬢様は…
｢あの子は、おぬしがいないと寂しがってしまうぞ｣
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作者名：なな | 作成日時：2024年3月23日 17時
