ゴッドファーザー ページ15
｢(本当に被るのかそれ…)｣
｢その鳥は何だ｣
｢こういう気分なんですよ〜♪｣
佐賀美先生だったな
賢いお人だ、薄々お嬢様の背後にあるものに気づいてる様子だ
｢ふぁ、あふ…｣
｢椎名さん。少しよろしいですか｣
｢は〜い！｣
お嬢様は一人のスタッフに呼ばれると、自分のいる部屋にまで案内され、ある椅子に深々と座った
｢(まったく、世の中は本当に不平等だな)｣
｢ほんと、世の中ほど不平等なものは無いよね〜…｣
｢…｣
｢お飲み物は如何致しましょう｣
｢ん〜…あっ！そこのオレンジジュースが飲みたいです〜♪｣
お嬢様とシンクロしたことに静かに喜びをかみしめながら、自分はお嬢様に引っ張られて隣に座らせていただいた
まるで興味のない瞳
笑顔の裏にある虚無が見え隠れしては、自分はたまらなくこのお方を尊敬してしまう
｢(まるで、ボスの隣にでも座っているようだ…)｣
｢本日は予定通り、他のスタッフに紛れてお過ごし下さい。この会場内であれば、常に我々が監視していますのでご安心を｣
｢そこまでしてくれなくて良いんですよ〜？｣
｢皆、ゴッドファーザー様の手足として尽力致します｣
ここでのお嬢様は、ゴッドファーザーだ
椎名A様じゃない
｢…ゴッドファーザーさんは、今は疲れてお眠り中だから。いるのはただの凡人の私だけですよ？｣
｢承知しました｣
｢ぷはっ…ごちそうさまでした！じゃあいくよ〜、タマくん｣
部屋を出ると、無表情のまま無言でお嬢様は歩いた
｢(この方は一体、何をお考えになられているんだろう)｣
｢…あ、そうだ｣
｢…？｣
｢タマくん、今日ぐらい羽を伸ばしてね。たまには休日を作らないとってこの前話してたでしょ〜？｣
そんな、自分はお嬢様をお守りすること以外に…
やる事なんてないと言うのに
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作者名：なな | 作成日時：2024年3月23日 17時
