レポート26・婚約者 ページ26
Aside
「ふんっ、歌しか取り柄のない下級貴族のくせに」
「っ…」
最後にその人は、私に聞こえるよう小さい声で吐き捨てた
「り、凛月くん…手離してよ…」
「なんで?」
「それは、だって…私と凛月くんは…」
ただの他人
そう言いたいのに、震えて声がうまく出せなかった
「婚約者なんでしょ」
「…へ?」
「じゃないと、Aは今みたいに馬鹿にされる」
「…」
一瞬だけ、本当に凄く嬉しかったのに
凛月くんは優しいから…なってくれるだけなんだ
「これでAの将来は安泰だねぇ♪いいの?俺は大した御曹司じゃないけど」
「…」
「A?」
凛月くんは、どうせ私のことなんか好きじゃないくせに…
「…うん♪」
泣きたくなった
でも、私は子供じゃないからぐっと我慢した
自分が惨めで情けなくて、心の底から恥ずかしい…
「それじゃあ…」
「え?」
急に、凛月くんは私を引っ張った
「今日が最初のデートだね…♪」
「え、あっ…」
「俺がエスコートしてあげる。一応、騎士だしねぇ」
「騎士?」
「ううん、なんでもない♪」
私はまだ、凛月くんのことを全然知らない
久しぶりに会ったら凄く大きくなってて、かっこよくて
その目にはまだ、私が映ってなかった
「(約束はこの前、果たせたけど…)」
私はそれだけじゃ嫌になった
凛月くんを自慢の歌で感動させるだけじゃ、私は嫌で…!
「浮かない顔してるね」
「え、あ…ううん!凄く嬉しいよ!」
「…そう」
凛月くんに、好きになってほしいのに…
「…っ」
どうすれば、凛月くんに振り向いてもらえるのかな
凛月くんが大好きな人って…あっ!
「(ま〜くんさんだ…!!)」
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りっちゃん
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作者名:赤月 音 | 作成日時:2022年3月8日 8時