I want to live quietly

オカミサマその4 ページ3

Aside
｢ああ、それで…ちょっと〈領収書〉を切って欲しいんだが。レシートじゃなく手書きのやつ｣
｢畏まりました、お客様。宛名は如何致しますか？｣
｢〈オカミサマ〉で頼む｣
｢はァ…おかみさま、でございますか？｣
｢そうだって言ってるだろ。カタカナでいい。プロ野球選手がファンの子供のためボールにサインをしてやるみたいに、さっさとな｣

(ｱﾞｱﾞｱﾞｱﾞやっぱりやったァァァ！！)

この言葉を聞き、Aは半分残念、半分｢やっぱりな｣という気持ちだった。

｢岸辺露伴は動かない｣とは、｢ジョジョの奇妙な冒険｣に出てくる岸辺露伴という漫画家が主人公のオフィシャル漫画である。

小さな好奇心が大きな危機につながるも、懲りもせずまだ｢リアリティ｣を求め取材に出かけるのだ。

それの小説版で出てくる話がこの、
｢オカミサマ｣
だ。

あの話どおりに進むのならば、あの領収書にはどんどんと身に覚えのない料金が加算されてゆき、最終的には体から｢時｣を奪う赤子たちが、全てを吸い取ってゆく…

(うーむ…時は金なり…恐ろしや…)

しかし、自分がオカミサマの領収書を使わなければいいのだ。今ここで下手に口を出して物語を変えてしまう方がよっぽど危険な気がする。
Aは素直に驚いて、無駄な出費を｢偶然｣抑えることが出来たことに胸を撫で下ろした。

その後2人はホテルに戻るための帰路に着いた。

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