I want to live quietly (ページ42)

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襲撃ページ42

｢……参考程度に、ですか…｣
｢あぁ。｣
｢…ええっと、おばけにずっと追いかけられる夢です。｣
｢お化け？｣
｢はい。ずっと追いかけてきて、捕まった瞬間に、目が覚めました。｣
｢…ふぅん｣

(疑われてるのかなぁやっぱり…でも嘘はついてないし…！)

Aが少し照れながら言う。

｢夜もなんか気になっちゃって。でも露伴先生の顔みたらちょっと安心しました。｣
｢そのお化けってのは、お母さんだったのか？｣
｢…｣

元々丸いAの目がこぼれ落ちそうな程に大きく見開かれた。
Aがなにか言おうと口を開けた時、どこからか声が聞こえてきた。

｢ココ…カ…｣

露伴にとっては、今1番聞きたくない声であった。
それは、取材旅行(・・・・)している時に出会ったあの｢スタンド｣の声だった。

｢ろ、露伴先生！今…声がっ！｣
｢っ分かってる。A、僕の後ろに隠れてろ！｣

Aが露伴の後ろに隠れようとした時、彼女はひっ、と小さな悲鳴をあげて腰を抜かした。

｢…A？｣
｢ろ、露伴…先生…背中、背中に…！｣
｢何ッ！？｣

露伴が肩越しに背中を見ると、ちらりと金属質な色を見た気がした。

｢なッ…！｣
｢う、うわっ！！｣

背中の上をなにかが走り回る感覚。
その上玄関の方から何かが走ってくる音が聞こえ、今度こそ露伴はGペンを持ち、Aは指先に電気を蓄え身構える。

数秒経たないうちに帽子を目深に被った少年が現れた。手に拳銃を持って。

(！！)

露伴の肩の上のスタンドが銃の形に変形し始めていたのだ。

(拳銃はダミー…)

｢僕からは誰も逃れることは出来ない。終わりだ、岸辺露伴。｣
｢っ…！！｣

(露伴先生が、危ない)

｢アレクト・ギル!!｣

思い出したくも無い白い記憶を頭の中から引っ張り出し、使うつもりのなかった、電気を帯びた指先をスタンドに向け、撃った。

｢ウグッ！｣

億泰がスタンドに触れた時とは桁違いの電流が少年の体を走り抜けた。彼はそのまま倒れ動かなくなった。

(し、死んじゃった…？)

戦慄しているAを見て考えを汲み取った露伴は少年に近寄って脈拍を確認し、首を振った。

｢まだ息はある。致死量の電流をくらったわけじゃあないようだな。｣
｢…はぁっ、はぁ…よ、よかっ…た…｣

Aは力が抜けたようにぺたりと座り込んだ。まだ体が震えている。撃った時は何も考えていなかったが、もし死んでしまっていたら…

(お､恐ろしい…)

腕をさすりながらAはもう一度身震いした。