I want to live quietly (ページ31)

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名所巡りその2 ページ31

｢それで、あれがボヨヨン岬｣
｢ボヨヨン岬…？何それ？｣

Aが怪訝そうに聞く。
今A達は断崖絶壁にいた。康一がある尖った岩を指さしながら説明した。

｢あそこに『ボヨヨォ～ン』って書いてあるんだ。それで、そこにぶつかったら文字通り『ボヨヨォ～ン』って跳ね返るんだよ｣
｢マジに言ってるの？そんなこと｣
｢マジだよ～｣

今日はずっと、『ダイヤモンドは砕けない』シリーズにでてきた『名所』を沢山巡っていた。

まるで漫画の話に沿うように｢振り返ってはいけない小道｣や｢男が住んでいる送電鉄塔｣などなど、数々の名所を巡った。Aにはそれらは全て聖地であった。

｢さて…だいたい見終わったし、ここの名物牛タンの味噌漬けでも食べる？｣

A達を振り返りながら康一が聞くと、仗助が首を振った。

｢イヤイヤ、牛タンの味噌漬けなんてどこでも食えるだろうがよォ～。それより1つ、巡り忘れてる所があるんじゃあねえのか？｣
｢…?…あっ…！｣
｢トニオの店か！｣

億泰がぽんと手を叩くと仗助がそうだと言うように大きく頷いた。
しかしAがちょっと不安そうに聞いた。

｢トニオさんのお店っていくらくらいするの？私今手持ち0なんだけど…｣
｢じゃ、A歓迎会ってことで、あんたの分は俺たちで奢ってやるっすよ｣
｢えぇ！？悪いよ！｣
｢いいからいいから｣

仗助に背中を押され、A達はトニオ・の店へと向かった。

.☆.｡.:.+*:ﾟ+｡ .ﾟ･*
｢フゥ～｣
｢美味しかったあ｣

ついこの間食べたばかりだからなのか少量だったからなのか、特に大きな『効果』もなく、5人は帰り支度を始めていた。
すると、カランカランと鐘のなる音がした。そちらを振り返ると、A達は酷く驚き、テーブルの上で顔を突合せた。

｢お、おいおい…｣
｢あれって、菊池くん、だよね？｣
｢えぇ…｣
｢な、なんだよ、アイツがどうしたんだよ｣
｢そうだよ、3人とも急にどうしたの？｣

事情を知らない仗助と康一が困惑しながら3人の顔を交互に見ると、億泰が口を開いた。

｢いや…アイツよォ…今度転校するヤツでよォ…｣
｢そうそう…こっち気づいてないのかな…？｣

Aがそう言うとそれが聞こえたかのように玲がこちらを見て、仗助達と目が合った。

しかし玲はすぐに目を逸らしてしまった。

心做しかAにはそれが、しまった、というふうな顔に見えた。

｢おいおい～それはねえんじゃあねえのか～？｣

Aが怪訝に思うと、億泰が声を上げた。