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鶴の残涙 ページ9
「あ、鶴丸さん、ただいま。」
定期検査から戻ったAが、いつもの柔らかい、下がり眉の笑顔でひらひらと手を振った。
良い子にしてた?と悪戯っぽく尋ねるAに、政府備え付けのソファに深く腰掛けている鶴丸は、淡い笑顔で答える。
「…ああ、政府には驚きが沢山あるな。今日は疲れたよ。」
その笑顔は、儚げ詐欺の詐欺と言えるほど儚い。
Aは疲れたんだなぁ、と密かに思い、今日は労って上げようと決心する。
そして、それは良かったね、と笑って、夕陽が赤く照らす帰路に着いたのだった。
Aの後ろを歩く鶴丸の笑顔は、泣いているようにも見えた。
鶴の残涙、了
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作者名:味噌田楽 | 作成日時:2021年5月23日 22時