鳥 野 高 校 排 球 部 × ク ー ル 系 マ ネ

#くしゃみ ページ4

＊youside




それは梅雨の時期、少し肌寒い日のことだ。


『…くしゅんｯ』


練習中にAの小さいくしゃみが響く。


清水「大丈夫？風邪？」


心配そうな顔をした潔子が顔を覗く。


『ううん、平気』


清水「そう。体調悪かったら言ってね」


優しい潔子に頷きつつ選手のジャージを畳んでいく。


『…くしゅんｯ…』


けれどくしゃみは止まらない。
確かに少し肌寒く感じて両腕をさする。
すると…


影山「…風邪っスか」


『…！』


すぐそばに怖い顔をした影山が立っていた。


田中「なぬ!?Aさんが風邪だと!?」


西谷「なにィ!?」


影山の声に田中西谷が反応する。
けれどAは本当に何事もないように真顔で首を振る。


『ううん、平気』


そう言うと田中西谷の背中を押してコートに戻す。


『大丈夫だから、練習がんばって』


きゅん。


そう言われたふたりはしばらく放心してコートに突っ立っていたため、ボールを顔面にくらったとか。


そして、またジャージを再度たたみ始めた時だった。


影山「…先輩」


低い声がしてもう一度振り返る。


『影山、どうかした？』


そう聞くとまだ畳んでない方のジャージから1つジャージをとって差し出してきた。


『？』


それをぱちくりと見つめる。


影山「…俺ので悪いスけど着てて、ください」


下を向いてぎこちなく言う影山。
そこでやっと心配してくれたのか、と理解する。
けれど申し訳ないと思い、首を振る。


『…影山が風邪ひくといけない』


そう言うと、


影山「俺は練習で暑いんで」


と言って引かない。
申し訳なさはありながらも一回り大きいジャージを受け取る。


『…ごめん。ありがとう』


そう言えば影山はやっと上を向いて少し笑った。


影山「！ウス！」


その日は有難く一回り大きい黒いジャージを着て過ごした。


『(あったかい)』








おまけ




西谷「!?!?Aさん！誰のジャージっスか!?」


田中「!?Aさんが…男のジャージをｯ…!!羨ましい!!」


『？影山が貸してくれた』


そう言うと2人は膝から崩れ落ちた。


西谷「影山ァァァァ!!!!くそｩ！あの時俺が貸していれば…!!」


田中「なんて羨ましいｯ!!」


澤村「コラ！うるさいぞお前ら!!」


日向「ん？影山なに不気味な笑いしてんだ？」


影山「あ"ぁ"!?」


日向「ﾋｨｯ」









＊

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