＊Snow White 1st

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✽ﾊﾙside




…アオイが死んだ。


…泣いている場合ではないのに涙が止まらない。


…ふと、顔を上げてアオイを見る。


ﾊﾙ「……ふふっ、幸せそうな顔しちゃって…」


死んでいるとは思えないほどその顔は安らかで今にも声が聞えてきそうだった。
…けれど、戸惑っているのかAはアオイの体を優しく揺する。
その光景には胸が締め付けられそうになった…。


そして…


『…おとうさまぁっ…!!!!』


Aがついに泣き出してしまった。
その光景にまた涙が溢れそうになる。
…泣いている場合ではないのに。
…彼がいない今、私がこの国を守らなければいけないのに。


そう思って涙を拭った時だった…。


天竜人「うるさいぞえ!?貴様たちもこうなりたいのかえ!?」


…そう言って天竜人が戦士に銃を向けたのは。


ﾊﾙ「(…いけない！アオイの守ろうとしたものがっ…)」


そう思い、声をあげようとした時、


ﾊﾙ「きゃっ!?」


国がグラりと傾いた。
そしてその瞬間獣の鳴き声のようなものが響き、空を見上げると…


ﾊﾙ「…陸王類…!!」


…そこで気づく。
…まさか…、陸王類を呼んだのは…



そう思い未だ泣き叫ぶAに目を向ける。Aの泣き声が大きくなるとそれに答えるように陸王類も大きく叫んだ。


…そして、確信した。
戦士たちも驚きながらも確信したようだった。


…Aが伝説の姫だったのだと…。


けれど次の瞬間、絶望することになる。


天竜人「何だえあれは!?今すぐあれからわちきを守るのだえ!!そしてあれを殺しあの女を捕らえるのだえ!!」


…!?!?!?


嫌な汗が伝う。
天竜人が指さすあの女とは間違いなくAを指している。驚きと焦りで声が出ない時、1人の戦士が叫んだ。


「何をっ！アオイ様との約束を破る気か!?」


ﾊﾙ「!!」


…それに対し、天竜人はこう答えた。


天竜人「あの男は、勝手に死んだのだえ」


…と。


ﾊﾙ「っ!!!!」


…頭を殴られたような衝撃に襲われる。
まさか、天竜人は初めから約束など守るつもりがなかったのか。


…悔しい悔しい悔しいっ!!


今にも溢れそうになる涙を下を向いて唇をかみ、必死に堪える。


…アオイが守ろうとしたものをこうも簡単にっ!!


自分のやることは分かっているのに悔しいという思いで頭がいっぱいになってしまう。
けれど、いきなり戦士の声が耳に響いた。


「ハル様！もう耐えられませんっ!!どうか、どうか、ご命令をっ!!」


…という悲痛な叫びが。

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