嘘つきの私と最後の一年六時間目 (ページ13)

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侵食の時間ページ13

「茅野…どうなってんだよ。ずっとあの触手生やしてたのかよ」

誰も動き出せずに疑問だけが残るこの場所にカエデちゃんはいない

呆然と立ち尽くす皆を置いて渚くんの出てきた体育倉庫の中へと入る
うん。殺せんせーを落とし穴に落として対先生弾の詰まったプールに入れるつもりだったらしい

この教室に触手持ちの生徒が一人潜伏していると聞いたのは最近だ

(胡散臭い、というか何か隠してるって初対面の時から思ってたけど…ほんと演技上手いなー)

空の見える天井を見上げて目を細めて体育倉庫を後にした

●●●

茅野カエデは偽名。彼女は磨瀬榛名として天才子役と名を轟かせていた

そしてE組前任の雪村あぐり先生の妹。

これが現状で分かる彼女の情報だろうか

「殺せんせー、茅野…先生の事人殺しって言ってたよ
なあ…過去に何があったんだ?」

教室に戻って皆の声を代表するように殺せんせーへと問いかける岡島くんに先生は顔色も変えずに黙っている

でももう有耶無耶になんかできない。カエデちゃんの殺意を見たならば誰も納得なんてできないのだ

生徒全員の顔をぐるりと見渡して悩んだ末、殺せんせーがいつものように笑った

「先生の…過去を全て話します。ですがその前に、茅野さんはE組の大事な生徒です
話すのは…クラス皆が揃ってからです」

●●●

指定のあったすすき野原には既に冬だというのに、薄着でカエデちゃんは待ち構えていた

イトナくん曰く、メンテもせずに触手を生やしていたら地獄の苦しみが続くらしい
それを隠し通す辺りさすがは天才子役

「茅野さん。その触手をこれ以上使うのは危険すぎます。今すぐ抜いて治療をしないと命にかかわる」

「え、何が?すこぶる快調だよ、ハッタリで動揺を狙うのやめてくれる?」

殺せんせーの忠告にも聞く耳持たず、カエデちゃんに皆が口々に説得を試みるもそれすらも黙ってと触手に炎を纏わせ遮る

炎を纏った触手を撓らせ炎のリングで邪魔されないように私達と殺せんせーの間を隔て準備は整った

「やめろ茅野!!こんなの違う!!」

殺せんせーへ狙いを定め今にも襲いかかりそうな彼女に制止を呼びかけるのはこの数ヶ月ずっと側にいた渚くんだ