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4.父の葛藤 ページ6

この異常事態にAが気付くのは時間の問題だった。聡い性格をしていると分かっていたのに、騒ぎ立ててしまった自分の責任に対し項垂れてしまう。予想外の出来事にかなり動揺してしまったらしい。愛するAの存在を隅に追いやってしまったことに、総帥はショックを隠せなかった。

 「…A、お前は何も心配しなくてもいい。父さんが少し焦ってしまっただけだ…すぐに解決するとも。」

 Aを不安にさせまいと、できる限りの笑顔を作ってみせたが逆効果だった。既に何事かと聞かれている時点で、彼女に優しい嘘など通用する筈が無いのだ。現に眉を顰め、大きな瞳で総帥を捉えている。口は糸のように一直線に結ばれ、何も発言しないという意思表示を現していた。これは、Aが納得できず違う回答を求めている時の癖だ。
 そんなAの様子に気付いた総帥は、ため息を吐きながら背もたれに体重を預け、重たい口を開いた。

 「以前にジョースターさんについて話したことを覚えているか?」

 Aはこくりと頷く。

 「ジョースターさんのご息女にあたるホリィさんの容態が急変してな…その原因はお前の中にもあるものなんだ。」

 自身の中にホリィと共通点があるとすれば、身体に住っている菌やウイルスしか思い浮かばず、Aは首を傾げた。総帥はその反応を見越していたかのように続ける。

 「知らなくて当然だ。お前が知るにはまだ早いと思ってわざと話さなかったんだ。小さなお前が背負うには負担が大きすぎる…命に直結することだからな。」

 今までにないほど真剣なまなざしを向けられ、Aは金縛りにあったように固まってしまった。命という言葉を聞いてしまった以上Aも黙って聞くことしかできず、体のいたるところを動かさないで総帥と目を合わせることに努めた。

 「A、お前の中にはスタンドという分身がいる。それはお前が生まれ持ったものだ。命を落とさない限り離れることはない。」

 先ほど財団員と話していたスタンドがようやく総帥の口から発せられたことに、Aは少しの満足感を得たと同時に、これからスタンドがどのようなものなのか説明されるまでの数秒の間も待てないほどにAは興奮していた。
 しかし、Aはスタンドらしきものをこれまでの間目にしていない。生まれつきスタンドを保有していたのなら既に把握しているはずだが、心当たりが一切ないのだ。

 「パパ、スタンドって何をしたら見れるの?」

5.とあるスタンド使い→←3.入室



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作者名:みかんどっとこむ | 作成日時:2021年7月27日 0時

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