監督生「リリア先輩の手料理、美味しいです！」 (ページ9)

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刺なんて優しいものじゃないリクエストページ9

時間軸は三章後です

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美しい花には刺がある。

それと同様に優しいものにも刺があるのだ、とリドル・ローズハートが身をもって実感したのは、腹が立ちそうなほどよく晴れた日の昼下がりのことだった。

その日、リドルの気分は最悪だった。

いつも使ってる食堂がゴースト達の体調不良で使用出来ず、ただでさえ機嫌が悪かったというのに、購買に行こうと教室を出た瞬間にフロイドに絡まれたのだ。

「ねぇねぇ金魚ちゃん、どこ行くの？購買？それよりモストロラウンジ来なよぉ。営業時間外だけど特別に開けてあげるからさぁ。対価はそのユニーク魔法でいいよ」

「フロイド、等価交換という言葉を知ってるかい？！ジェイド、君の片割れだろう！何とかしてくれ！！」

「ふふ、困りましたねぇ」

「それ絶対困ってないだろう！！！」

ジェイドの「困りましたねぇ」は全然困ってない。むしろ楽しんでる。
彼を知る者なら必ず知っている、この学園の常識である。

その態度に思わずセベク並みの声量で怒鳴ってしまったが、彼はアズールのところに走って行ってしまったし、フロイドはニヤニヤと嗤うばかりでちっとも離れようとしない。

リドルはフロイドと一緒にいるのはどうしても避けたかった。
だから、中庭のベンチに独りで座っていた監督生を見つけた瞬間思ったのだ。

「よし、道連れにしよう」、と。
慈悲はない。これぞNRC精神。

まさか自分が生贄にされるとは思っていない監督生。
監督生もまた、気分は最悪だった。

監督生はどっかのモンスターのせいで料理()の楽しさに目覚めていた。

だから当然食堂が使えない今日はグリムにお弁当を作ってあげる予定だった。

が、しかし。モンスターの勘で命の危機を感じ取ったグリムは「今日はサバナクローにお世話になるんだゾ！」と叫んで行ってしまったのだ。
あのグリムが毛嫌いしてるレオナのところに自ら飛び込んだのだから相当びびっていたに違いない。

それはともかく、監督生は作りすぎてしまったお弁当(という名のダークマター)をどうしようか困っていた。
だから、渡り廊下で戯れている───少なくとも監督生の目にはそう映った───リドルとフロイドを見た瞬間思ったのだ。

「このお弁当を二人にお裾分けしよう！」、と。
監督生的には、いつもお世話になっている二人への恩返しのつもりだと言うのだからいかれている。