86 君に伝えたいこと ページ12
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夜、本日の全ての練習試合を終えて。
第三体育館での自主練習では、昨日の三対三の続きをするようです。
そんな他人事みたいにい言ってみても、相変わらず第三体育館に引っ張られてきた私は、またも得点板係りを任命された。
自主練習もクソもねーじゃん…。
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「……おい、起きろ」
『ん、ぁ…?』
「つーかお前…よくそんなとこで寝れんな」
『ん……はっ!』
目を覚ますと、黒尾がいた。
私は得点板に腕をついたまま立ちながら寝ていたみたいだ。少し痺れている腕にはしっかりと掲示板の跡ついてた。
見渡すと体育館の中には私と黒尾しかいなくて、時計は晩御飯の締め切り時刻間近だった。
「みんな先行ってるから急ぐぞ」
『えっ、あ、え、うん』
ここでやっと脳が追い付く。
どうやら私は、途中で寝てしまっていたみたいだ。
まあ、睡魔と戦いながらずっと得点板をめくっていたらそうなるよね!
それを黒尾が起こしてくれた、んだよね?
と自己解決して、欠伸をする。
黒尾は先に歩き出して電気のスイッチに手を置いた。
「…んじゃ、電気消すぞ」
『うん』
…………。
パチリと電気の消えた体育館に、反射的に昨日の赤葦さんを思い出して恥ずかしくなった。
そしてすぐにまた黒尾と二人きりということを実感して更に恥ずかしくなる。
どちらかというと恥ずかしいというより、一人で気まずく思ってしまった。
『………』
「………」
体育館を出て食堂に歩いて向かいながら、私はあまりの気まずさに苦笑しそうになる。
……けど、今が、いい機会なのかもしれない。
うん、そうだ。
言おう。
「……なあ」
『……ねえ』
「あ?なんだ?」
『えっ、いいよ先に言って』
まさかの。
口を開いたタイミングが重なってしまい気まずさ倍増パターン。
つらい。死ね。
けど、黒尾に『お先にどうぞ』と言うと「ありがとうございます」と胡散臭いと評判の笑顔が返ってきたから笑った。
やっぱすごいな。
一瞬で気まずさがなくなった。
「俺さ、この前お前のこと諦めねぇっつったろ?」
『……ああ、うん』
すぐに気まずくされた。
主に私だけ。
けれど黒尾の表情が真面目だったから、私も黒尾の声に耳を傾けた。
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マニ。(プロフ) - 未確認歩行物体さん» ✉️。この作品もとても面白いです!これからも応援してます! (11月22日 14時) (レス) id: b32654e3a5 (このIDを非表示/違反報告)
reia(プロフ) - 私、占いツクールで布教活動をしているのですが、この作品のシリーズ、とても好きなので布教してもよろしいでしょうか? (2022年3月24日 22時) (レス) id: 0d7a47aa6b (このIDを非表示/違反報告)
未確認歩行物体(プロフ) - mooさん» はじめまして!わーい、たくさん褒めて頂きとても嬉しいです(*´∀`*)こちらこそコメントありがとうございました!( ´ ▽ ` )/ (2021年8月9日 10時) (レス) id: a04ea61aea (このIDを非表示/違反報告)
moo(プロフ) - 初めまして、モテ期到来からの各ルートとオマケまで読めて最高でした!ありがとうございます!! (2021年7月7日 16時) (レス) id: 36860c259a (このIDを非表示/違反報告)
未確認歩行物体(プロフ) - きゃーぽんさん» きゃーぽんさん、コメントありがとうございます!完結してから4年経った今でも、この作品を見つけて読んでくださった方がいる事がとても嬉しいですヽ(;▽;)ノお褒めの言葉まで頂き、本当にありがとうございます!! (2021年5月18日 22時) (レス) id: d428059590 (このIDを非表示/違反報告)
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