【ハイキュー】残念、女の子は顔じゃないらしいよ。

□赤葦京治との出会い3 ページ9

▽(赤葦視点)





部活を終えて、帰路についていた。


バケツを引っくり返したかのような雨に、遠くで雷もなっていた。風がまだ弱いのが幸いだ。



「(…早く帰ろう)」



自分のさしているビニール傘を強く打つ雨の音に、そんな柔な体ではないはずだけど風邪を引くのは避けたいと、少しだけ近道になる通路を歩いていた。



それで、普段は滅多に通らない公園の前を通った時。


こんな天気の中、人なんか出ているわけないと思っていた。
ふと公園のベンチに目をやると、見てるだけで身震いしそうなほど寒そうな、半袖姿で雨宿りをしている人が見えた。

ちょっと薄暗くて見にくいけど、身長や髪の長さからして恐らく女性だろう。もしかしたら俺と同い年辺りじゃないだろうか。


まぁでもどうせ俺には関係ないし…と見て見ぬふりをしようと思ったが良心がいたんで、少しだけ迷ったが俺は心の中でため息をつくと公園のベンチに向かい座っている女の子に声をかけた。





「……あの、大丈夫ですか？」

『…あ？』



女の子は俺の声に不機嫌そうな声を上げた。少しだけびっくりしたが、特に何も思わなかった。
改めて小学生か中学生か……やっぱり年は近そう。




『あっ、すみません…！全然大丈夫です！』



ただ、すぐに言葉遣いを直し愛想笑いを浮かべた彼女の精神年齢は見た目よりは上に見えた。
ころころと俺の中でこの子の印象が変わっていく。



『雨すごいですね。天気予報みてなくて。雨宿りしてたんで、お気にせず…』



わざわざベンチを立ってペコリと頭を下げた女の子はビショ濡れで、横にはここから少ししたところにあるコンビニの袋を置いていた。
当たり前ながら傘も持っていないようでズボンの裾も七分丈辺りにまで捲っていた。

というか、半袖は寒い。既に濡れて色が濃くなっているであろう長袖の上着を肩にかけている。

それに彼女は雨宿りと言っているが、雨はまだ当分は止まないだろう。







「……良かったらこれ、使ってください」



それを見た俺は何を思ったのか、唐突にそう言った。同時に自分が使っていた傘をたたむと女の子に差し出す。
女の子は驚きながらも反射的に傘を受け取ってしまったらしく、パチパチと目を瞬かせていた


俺自身も自分の行動に若干驚いているが、今思えば見知らぬ他人を送っていくというのもあれだし、傘を渡すのが一番無難な選択だった。




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