嬉し涙 ページ46
その光景が飲み込めないのか三日月に取られた左手は少しも動かず微かに唇を震わせることしかできないかぐや。しだいに彼女の目には涙が溜まってきた。
「…不束者ですが…末永くよろしくお願いします…!!」
わぁっと上がる歓声、ゆっくりとかぐやの左手の薬指にはめられ小さく三日月の形をとる指輪が喜びを写すように美しく光っていた。
「永遠に、お主だけを愛し抜こう。」
「私も!!誓います!!」
泣き崩れるように三日月に抱きつくかぐや、それから更に勢いがついたように酒盛りは盛大に行われ、幸せそうに皆眠りについた。
…そして明け方、肌寒く感じる季節になり日の出はそこまで早くないが昨日気を抜かなかった猛者達が着々と準備を進めていた。
未来へ帰る準備だ。
その中にかぐやの姿も見え、ただ黙々と作業をこなしていた。だんだんと明るくなる景色に別れの思いを馳せながら、後はボタンを押すだけまで整えた。
その時だった。多くの足音が聞こえてきて聞き覚えのある声まで聞こえてきた、暗殺教室の面々だ。
「かぐやーーー!!」
「間に合った!!」
「全員!!だもんね!!」
呆気に取られ、流れる一筋の涙も拭かずに立ち尽くすかぐや。
「…なんで?」
「最後のお別れ、朔さんが教えてくれたから!!」
口々に楽しげにかぐやも混じえて会話に花を咲かせる彼らを朔と今起きてきた三日月は遠目に見つめていた。
「かぐや。 」
「三日月!!おはようございます!!」
「ああ、おはよう。あと数分だと言うので、迎えだ。」
「そっ…か。じゃあ、昨日お別れの挨拶もしたし、その調子じゃ私達のこと忘れないだろうし、どう言えばいいんだろ…みんな、私はいつもみんなの傍にいるよ!!苦しい時、嬉しい時、手元の私に沢山お話してね!!」
返事を待たずして足早に屋敷の中へ戻るかぐや。隣に立っていた三日月はかぐやの頬が濡れていることに気が付いた。
「寂しいか?」
「嬉し涙です。」
頭を三日月に押し付けて誤魔化すように唸るかぐやに三日月は軽く笑いかけた。
その瞬間、窓という窓から光が溢れ、一瞬宙へ浮かぶような感覚に襲われる。
時間だ。
「さようなら!!」
それと同時にかぐやの体からも光が溢れ出す。
優しく暖かい光だった。
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ミューゼス(プロフ) - 極・吹雪姫さん» 全作品にコメント頂きありがとうございます!これからもよろしくお願いします! (2019年5月12日 18時) (レス) id: 8be0659255 (このIDを非表示/違反報告)
極・吹雪姫 - みゅーぜす>ワンコ女子の力作見ましたわ!!表クール(?)で裏ワンコ!!発想、展開、誤字はあっても、長く続けられる強さ。だからこそできた作品でしょう。(ちなみに暗殺教室→カルマ、有希子 黒バス→伊月が好きよ? (2019年5月7日 21時) (レス) id: c4455a25af (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ミューゼス | 作成日時:2018年8月29日 18時