【文スト】早い者勝ち【太宰治】

6回目 ページ8

私の体はフリーズして、動かない。


こんな所、全く見たくないのに、そのまま動かない。


A「…っ失礼しました…」


やっと絞り出したその声。


それと同時に体が動き、ドアを静かに閉めた。


ぱたん、と無機質な音が大きく感じられた。



先程まで我慢出来ていたはずの涙が、溢れて、溢れて、止まらない。


それでも何とか声を抑え、走った。


途中、部下たちに何度も声を掛けられたが、無視した。


A「もう、嫌。嫌。嫌…」


自室に入り、ドアを乱暴に閉めた。



太宰さんと女の子が一緒に居たのも、仕事の都合だと、

自分に嘘をつき、

騙し、

殺してきた。




でももう、無理だ。



私がもう、限界だ。


心が壊れる。


あの日笑ってくれた。

少し照れた。

私を抱きしめてくれた。



全部

ぜんぶ

ゼンブ


崩れていく。



声を抑えずに、泣いた。

きっとこの声は聞こえないから。



夜通し、泣き続けた。




時間の経過など、知らない。

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