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6話 ページ8

美しい庭園

生い茂る草木に、色とりどりの花たち
彼らは一番美しい時のまま、成長が止まっている

美しいと思うと同時に、つまらないと思う

生命は変化するさまが美しいというのに

そんなことを考えながら、カップに手をつける
黒に近い茶色の液体、コーヒーとやらに口をつける

だが、すぐに口から離した

「……不味い」

思わず顔を歪める
それを見てベリアルは面白そうに笑った

彼を睨みつけたいところだがそれどころではない

苦味と酸味が混ざり合って変な味だ
ルシフェルはこれを美味しいとか言ってたが、正気なのだろうか

丁寧に説明書(ルシフェルお手製)までつけられていたので、その通りに作ったはずなのだが

もしかしたら私の淹れ方が悪かったのだろうか
それとも元からこういう飲み物なのだろうか

未だに腹を抱えて笑っているベリアルに聞く

「……美味しいかい?」

「ふふ……ふ、ふふふ」

「何をそんなに笑ってるんだ。失礼だよ」

不満げに私は言う
やっと落ち着いたベリアルが答えた

「いや、君はいつも穏やかに笑っているから。珍しい表情が見れて、つい、ね」

「そんなに私の顔が面白かったのか」

「そりゃあもう」

クスクスと彼は笑う
そんな彼に、再度聞く

「美味しいかい?」

「そうだな、不味くはない」

そう言って彼はコーヒーを啜る

美味しくもない、ということだろう
私たちの口にコーヒーは合わなかったらしい

「……次は紅茶でも用意しようか」

「紅茶?」

「知らないのかい?」

「ああ、初めて聞いた。君は知ってるのか?」

「知識としてはね。これとはまた別の飲み物らしい。しかも色々種類があるらしい。もしかしたら私たちの口に合うものも見つかるかもね」

「それは楽しみだ」

彼はそう言って、美しく笑う
私もそれに穏やかな笑みを浮かべた

……次はどんなプランを立てようかなぁ

次のお茶会に想いを馳せながら、私は苦いコーヒーを啜った

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うさ - 続き楽しみにしてます。 (2019年6月30日 18時) (レス) id: ef6ea16959 (このIDを非表示/違反報告)
東雲ノア(プロフ) - 表現、話の内容、書き方全てがとても好みです。久し振りに素敵な作品に出会えました。陰ながら応援してます。 (2019年4月5日 12時) (レス) id: be86295bcb (このIDを非表示/違反報告)
こまこ - 最高です。 (2019年3月24日 4時) (レス) id: 95e04e1a30 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もちもち | 作成日時:2019年3月14日 13時

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