5話 ページ7
私は資料を見る
ベリアルも上からそれを覗き込んだ
そこにはある星晶獣について詳しく書かれている
つい先日、ルシファーが造ったものだ
何か設計ミスでもあったのだろうか
完璧主義者の彼が、未完成のまま放置するというのは有り得ないように思うが
私はミカエラに聞く
「で、星晶獣のことだったね。何か異変が？」
「はい。近頃その星晶獣が凶暴化しているようで……。それに触発されたのか、その地域の魔物の動きも活発化しています。今は何ともありませんが、いずれ怪我人が出るかと」
その話を聞きながら、私は資料を捲る
地域についても情報が記されているが、異変はない
そうなるとやはり、星晶獣自体に問題ができたのだろうか
これだけではまだ何も言えない
「ベリアル、何かわかった？」
「残念ながら何も。実際に行ってみないとわからない」
「だよねぇ。とりあえず、ルシファーに話だけでも……」
「ファーさんは今日は天司長様と学会だ。しかも今出たばかりだから、帰ってくるのはだいぶ後になるはずだ」
「間が悪いな」
どちらにしろ、ルシファーが私たちの質問に答えてくれるかは微妙だ
彼は目先の研究にしか興味がない
ただの実験として造った星晶獣など、もう存在さえ忘れているかもしれない
「でもこれ、資料を見る限り星晶獣に問題がありそうだよねぇ」
「ファーさんが設計ミスをしたとでも？それはない、と言いたいところだが、ファーさん、匙加減適当だしなぁ……」
ベリアルが遠い目をする
他にも心当たりがあるようだ
私は言う
「まぁ、この件については私が創造主に話しておこう」
「ファーさん案件なら、オレの方が適任じゃないか？」
確かに、彼はルシファーと一緒にいることが多い
何よりあのルシファーの扱いに手慣れている
ルシファーに話を通すなら、彼の方が確実だ
「これはどちらかというと、君より私向けの案件だろう」
「……オーケー、わかった。君に任せよう」
私の言葉に納得したのか、了承を得る
その言葉を聞き、私はミカエラに向かって微笑む
「そういうことで、この件は私が預かるから何かわかったらまた連絡するよ」
「はい、わかりました。貴重なお時間を頂き、ありがとうございました」
「いえいえ」
ミカエルは頭を下げ、この場を離れる
彼女の後ろ姿を見送った後、私はベリアルに言う
「さて、暇になったことだし、一緒にお茶にしようか」
私の言葉に、彼はやはり困ったように笑った
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うさ - 続き楽しみにしてます。 (2019年6月30日 18時) (
レス) id: ef6ea16959 (このIDを非表示/違反報告)
東雲ノア(プロフ) - 表現、話の内容、書き方全てがとても好みです。久し振りに素敵な作品に出会えました。陰ながら応援してます。 (2019年4月5日 12時) (レス) id: be86295bcb (このIDを非表示/違反報告)
こまこ - 最高です。 (2019年3月24日 4時) (レス) id: 95e04e1a30 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もちもち | 作成日時：2019年3月14日 13時
