#01. 入学式の空席 ページ2
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「 そう言えば"そこ"の席って誰の席? 」
気だるそうな知念に俺は首をかしげた。
"そこ"っていうのは多分、空いている俺の後ろの席の事だと思う。
「 ゆうてぃは?知ってる? 」
「 いや。知らない 」
「 ふーん。そっかぁ 」
つまらなそうに口を尖らせた知念に苦笑いした。
いや、これから入学式が始まるってのに。
知ってたら凄いと思うけど。
まだクラス名簿も見てないのにさ。
ちなみに今の俺たちは体育館に行くのを待っている状態。なわけで、正直めちゃくちゃ暇だ。
「 でも入学式休むとか中々ヤンチャな子なんだろうねぇ 」
「 どうだろう…でも仕事で来れないって事もあるんじゃないの?こういう学科だし、」
「 まぁ…そうだろうな 」
俺たちが入学したのはトレイトコース。
簡単に言えば"芸能科"みたいな感じ。
仕事と学業を両立するのに理解がある学科で、だからクラスメートも芸能活動してる人ばっかだ。
探偵学園Qで共演した神木隆之介くんや志田未来ちゃん。久しぶりに会えて嬉しかったなぁ。
特に未来ちゃんなんて大人っぽくなりすぎて
緊張して全然話しかけられなかった。
「 有名人なのかな? 」
「 さぁ… 」
「 涼介はなんでそんな興味ないの? 」
「 いやそう言うわけじゃないけど…… 」
興味ないわけない。
いやぶっちゃけめちゃくちゃ興味あるよ?!
だって後ろの席だし。
話す事あるだろうし。
でもなんか、ソワソワしてんのバレたら恥ずいじゃん。今必死で隠してんだから。
「 女の子だったらどうする? 」
「 どうするってなにが…… 」
「 ちゃんと話しかけるんだよ山ちゃん! 」
「 は?なんでだよ 」
「 だって後ろの席じゃん 」
だからって…なんで俺が。
心の中で文句を言ってると、入学式の時間になったらしい。廊下に出ると一列に並ばされた。
結局、後ろの席の子が誰なのかは
分からないままだった。
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作者名:まりも | 作成日時:2021年10月10日 0時