■そばにいたいよ ページ16
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「 だからぁお前……俺と母さんは幼馴染みで……まぁ俺ァ、気づいたら好きだったけどよ…… 」
「 はい 」
「 やっぱかぁいいよな…Aに似て…… 」
『 その話しもう5回目だけど 』
私と吉沢さんの間でぐだぐだになっているこの人は私の父です。
自分から誘っておいて1番に潰れるなんて最低だ。
元々お酒弱いのに無理して飲むからだよ
「 ……… 」
『 え、寝たの? 』
「 ……めっちゃ急に… (笑) 」
『 もう……ホントごめん。お店閉めるね 』
「 なんか手伝う? 」
『 いいよ。看板下ろしてドア閉めるだけだから 』
「 ……… 」
『 ………なに? 』
「 ………なんでもない 」
背中に感じる吉沢さんの視線が痛い。
なんでもないって言う時は
大体そうじゃない時だって分かるよ
私だってそうだから
彼がここに来たのもそんな理由なのかな
「 ねぇ、そっち行っていい? 」
『 いいけど… 』
カウンター席から近くのテーブル席に移動して、向かいに座るのかと思いきや吉沢さんは隣に座った。
肩が触れる距離が曖昧に私の気持ちを揺らして落ち着かない。
何度も隣に並んだことがあるのに今日は一段と心臓が忙しなく飛び跳ねている気がする。
どうして吉沢さんが実家に居るのか
それすら分からなくなるぐらいにはテンパっているのかも。
「 Aも飲む? 」
『 まだ未成年だってば 』
「 もー…早く成人してよ。巻いて巻いて 」
『 無理言わないで 』
舌足らずで拙い口調になっている彼もすでにほろ酔いみたい
少し眠いのか瞬きの回数が多くなっていく
かと思っていたら、肩に彼の腕が回って
『 ……ちかいよ 』
「 近づけてんの 」
『 ……やめて 』
「 じゃあこっち見て 」
『 っ……やだ、 』
「 目逸らすなってば 」
ぐいっと肩を引かれれば簡単に距離は無くなってしまう。
目の中に吉沢さんの綺麗な顔が映って、不意に心を揺さぶられた。
……昔から吉沢さんの前では嘘がつけない
何故かこの人は私の嘘を見破るのが上手いんだ
視界が濁る。
1つずつゆっくり落ちていく
「 ………泣くなよ、」
彼の親指が頬に触れて、優しくそれを拭う。
「 ごめん。泣かせたいわけじゃない 」
『 ……うん 』
「 でも、Aが辛い時は…俺が1番そばにいたいよ 」
ゆっくりと抱き寄せられて
気づいたら私も背中に腕を回していた。
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まりも(プロフ) - 旭さん» 旭さん。こんばんわまりもです。コメント有難うございます。ひっそりとですが訂正させて頂きました。いつも読んで下さって有難うございます。更新頑張ります! (2021年8月26日 22時) (レス) id: d967e47327 (このIDを非表示/違反報告)
旭 - 続けてのコメントですみません(>_<) 物語読みました。 今読んだばかりなのにもう続きが気になります。 更新待ってますね。 (2021年8月26日 1時) (レス) id: 4332e38eb8 (このIDを非表示/違反報告)
旭 - こんばんは(*^^*) 夜遅くにすみません。。。 更新ありがとうございます。 物語読んでいて気が付いたのですが...。 素敵な木曜日のここの部分 そんな目で見られた買うでしょ。 らが抜けてませんか? 正しくはそんな目で見られたらではないんでしょうか? (2021年8月26日 1時) (レス) id: 4332e38eb8 (このIDを非表示/違反報告)
まりも(プロフ) - 旭さん» 旭さん初めましてまりもです。タクシーの所は変換ミスだと思います。ご指摘頂いた通りです!「透明になれ」の意味ですが全部無かった事になれば良いという意味で付けています。わざわざコメント下さり有難うございます!更新頑張ります! (2021年8月17日 10時) (レス) id: d967e47327 (このIDを非表示/違反報告)
旭 - また続けてのコメントですみません。 物語読みました。 続きが気になります。 更新待ってますね。 (2021年8月17日 0時) (レス) id: 4332e38eb8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まりも | 作成日時:2021年8月14日 20時