純白ブルース 【吉沢亮】

■急な来客 ページ15

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夜の11時になった頃。お店のある1階から名前を呼ばれて行ってみると帽子を深くかぶった吉沢さんが立っていた。

人ってホントに驚くと声が出ないんだね




『 ！？！？！？ 』


「 ここに居たんだA 」


『 なっ、なにしてんの！ 』


「 飯食べに来た 」


『 はぁ！？てか何でここが分かったの！？ 』


「 Aのマネージャーさんに聞いたから 」


『 だからって普通来る？実家だよ？もし撮られたりしたら… 』


「 大丈夫でしょ。俺オーラないし 」


『 自慢する事じゃないわ 』





もう一度言っておくけどここ私の実家ね！！
その意味分かってる！！！？？

撮られるリスクもそうだし、
会うと面倒臭い相手がすぐ近くにいるし…！！




「 A、だれ？だれ？ 」


『 ………事務所の同期の吉沢亮さん 』


「 あぁ〜どうも初めまして！Aの父です！ 」


「 あ、吉沢亮です 」


「 うぉーしっかり見るとめっちゃイケメンじゃん 」


「 よく言われます 」


『 ………お父さんどっか行って 』


「 なんで？あ、もしかして彼氏？ 」


『 ちっがうから！！！！ホント黙って！！ 』


「 ……そんな全力で否定しなくても 」




というかこのコミュ力イカレ親父をどうにかさせて下さい本当にこの場にいられると面倒極まりない！！




『 同期で仕事仲間で友達だわ！ 』


「 でもほら、仕事から始まる恋もあるしさ。男女の友情なんて絶対成立しないよ？俺も母さんとは友達から始まったけど、やっぱいつから女に見えてくるもんで『 マジで口縫うよ万年思春期親父！！ 』なーにキレてんだよA〜 」


『 1回殴っていい？いいよね？ 』


「 まぁーまぁーとりあえず座りな！吉沢くんお酒飲めるの？何がいい？ 」


「 じゃあ生で 」


「 A 」


『 ……っホントなんなの 』




お前が注いでやれと言わんばかりで
勝手に肩を組んでカウンターに座らせる父に冷ややかな目を向ければ、隣にいた吉沢さんと目が合って思わず逸らした。

あんな風に電話を切ったから……
露骨すぎた自分の態度に頭を抱えた。

　

浮いたり、沈んだり、

どうにも感情が定まらない





「 A？溢れて… 」


『 えっ？……うわっ、 』




ジョッキから溢れるビールの泡はドロドロと零れ落ちていく。
急いでタオルで拭いてもう一度注ぎなおした。

なんでこうも平常心で居られないんだろう






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