四節 十四部 ページ47
「黒龍……」
「おつかれ。ようこそ。そして、おかえり。朱龍」
「…っ」
ゆっくり二人を下ろすと、ぐったりと力なく倒れているナオに魔力回復の
「ここのボスがどっかにいるはずだ。まだ倒せていない、今から行くぞ」
「わかった」
そう言われて朱龍の記憶にあるあの男の姿を思い出す。あの煙草の匂い、深い青髪に左目に負っているキズ、そして筋肉質な体。朱龍は思ったことがあった。
「……ボスのあの見た目、あれは多分変身魔法だ」
「でもほとんど魔法って感じがなかったが」
いつの間に目を覚ましていたのか、ナオは黒龍に抱かれたままだが疑問を呟いた。
あの姿は偽物、然し殆ど魔法を使って変身している感じはない。物理も殆ど効かない。そして異常なほどの精神攻撃特化、それから能力持ち。………あれを人と考えるからいけないのだ。
物理が効かなくて、異常精神攻撃特化で、金属操作の能力。変身可能で自我あり。そんなことが出来る
ナオの頭の中にはひとつしか思い浮かばなかった。
「………黒煙…」
ナオの言葉に二人は驚いた表情を見せる。
「黒煙なら物理攻撃は効かない、精神攻撃に特化してる、元は煙だから姿だって変えられる。つまりは黒煙の完全脅威型にまでなった悪霊。完全脅威型なら最悪自我があれば基本なんだってできる。何せ自我があるのならば、人の心があるならば、異常精神攻撃だってできるし、元能力者であるならば金属操作の能力だって使えないことは無い。信じたくはないけれど、この可能性が一番ある」
となると、あれは己の記憶から抜き取った姿か、又は実際の肉体。悪霊ならば生身の人の体を使うことくらい容易い。完全脅威型なら尚更。
「でもやっぱ、全部憶測だろう…？」
信じたくないと言いたげな朱龍。今まで主も自身も
「でも憶測でも推測しておくことは別に悪いことじゃない。
実際、あれはもう人じゃない。
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作者名：宇宙ノ彼方 | 作成日時：2019年7月28日 19時
