【第二章 一節】 神龍主と正体 ページ37
カランカランとアンティークなドアベルが愛らしい音を奏でながら扉を開くと、長い茶髪を二つ結びした可愛らしい女性がカウンターからこちらに視線が向く。
「いらっしゃ……おかえりなさいませ!」
「ただいまです!」
同じ宿を取っている為、ナオらと意外と関わりのあるいつも笑顔の彼女。カウンターを掃除していたらしく、手にはタオル布巾があった。
ナオ達だと気付くとぱっと花を咲かせて挨拶をしてくれる。すると彼女は橙龍の存在に気付いたようで。
「ま、また知らない人が増えて……!!」
「あぁ〜」
紹介しとくかと、橙龍を彼女の前に出すと橙龍は突然のことに困惑しつつも自己紹介をする。
「あ、えっと、橙龍と申します」
「えぇ!?えっと、ティナって言います!!よろしくお願いします!!」
ヘドバンする勢いで何度も頭を下げる彼女は【ティナ】と言うらしい。
初めて知ったナオは目を輝かせた。
「ティナって名前なんだ!!初知り、よろしく〜ティナ!」
「えぇ!!!?よ、よろしくお願いします!!」
「んじゃ部屋行きますかぁ」
「……ひ、広いな」
ナオらが過ごしている部屋を見て橙龍は呟いた。
「まぁ、九頭集めんのに狭かったらやばかね」
「九人とこん中で過ごすんか!?」
「え?流石にそこまで無理はしないけど……当分は…」
何事?と困惑するに橙龍は唖然としていた。
橙龍は少し眉をひそめながら恐る恐る質問する。
「………主君の性別は?」
「一応女」
「こやつらの性別は?」
「三人ともオスだろ」
「オス」
「せめて人の性別、男がいいなぁ〜」
「いや、お前ら神龍やん。龍やん」
ナオの返しに黒龍は呆れ、金龍は変わらず伸びた声で反応した。そんな阿呆らしい会話の中、橙龍はわなわなと身体を震わせる。異変を感じたナオは橙龍に近付き首を傾げどうしたのかと聞くと橙龍は顔を上げた。
「いや、羞恥心は無いんか!?少なからず異性である我らと、同じ屋根の下というのは…!!」
「……まぁ、十年以上クロといるし」
「男も男だ!」
「……まぁ、十年以上いるし…」
「お前ら!」
あーだこーだと叫ぶ橙龍に当たり前のように耳を塞ぐナオと顔を少し顰める黒龍、それからいつも通りニコニコしている金龍。
何だか更に騒がしくなりそうです。
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作者名:宇宙ノ彼方 | 作成日時:2018年12月26日 11時